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10月23日のまにら新聞から

ついに衝突事件発生 海警局船と比船ら4隻関与 アユギン礁補給任務で

[ 1267字|2023.10.23|政治 (politics) ]

南シナ海アユギン礁付近で、海警局船と比海軍チャーターボート、中国民兵船とPCG巡視船がそれぞれ衝突

海警局船(左)と衝突する比海軍チャーターボート=22日午前6時4分(比国軍公開)

 南シナ海南沙諸島のアユギン礁(英名セカンドトーマス礁)周辺海域で22日午前6時4分、中国海警局の718型巡視船「5203」(全長102メートル)が、同礁で比が詰め所とする座礁艦への補給任務のため比海軍がチャーターする民間ボート「ウナイザ・メイ2号」と衝突した。また、同じ作戦中、中国民兵船(船首番号00003)が比沿岸警備隊(PCG)の巡視船BRPカブラ(44メートル、日本供与)と衝突した。

 同座礁艦への補給任務を巡っては、過去2度にわたる海警局船による放水砲の発射や、火器管制レーダー照射事件などが発生。今月6日の補給任務では、海警局船が比巡視船に1メートルの距離まで接近、衝突寸前の事態になっていたが、今回ついに衝突事件に発展した。

 ただし、今回の衝突は海警局・比漁船、民兵船・比巡視船の間で発生しており、海警局と比巡視船の間では起こっていない。中国側が意図的に避けている可能性もある。

 比国軍が公開した映像では、進路を妨げる海警局船を避け、横切ろうとした海軍チャーターボートが海警局船の船首に接触。巡視船BRPカブラも同様に、中国民兵船から離れようとする際に左舷側が民兵船右舷と衝突している。

 その一方で、比海軍がチャーターするもう1隻のボート(ウナイザ・メイ1号)は座礁艦への補給任務に成功。けが人などの報告はない。

 比政府の西フィリピン海国家タスクフォースは同日、中国海警局と民兵船の行動を「危険で無責任、違法であり、比の主権と主権的権利、管轄権を侵害し、国連憲章と国連海洋法条約(UNCLOS)、海洋衝突防止法および2016年南シナ海仲裁判断をあからさまに無視している」として、「最も強い非難」を表明した。

 ▽全面的に比の責任

 一方、中国海警局も声明を発表。「中国が議論の余地のない主権を有する仁愛礁(アユギン礁の中国名)に、比補給ボート2隻と巡視船2隻が、座礁艦への建設資材を持ち込むために許可なく侵入した。比船は度重なる警告を無視し、危険な方法で中国側に接近したため、衝突が発生した」とし「責任は全面的に比側にある」と非難した。

 カールソン駐比米国大使はX(旧ツイッター)で、「合法的な比によるアユギン礁への補給任務を妨害し比職員の命を危険にさらした中国の行為を非難する」とし、比への支持を表明した。

 カナダ大使館は長文の声明を発表。「比の排他的経済水域(EEZ)内において衝突事故を引き起こした、海警局および民兵船の違法かつ危険な行動を非難する。中国は南シナ海に請求権を有せず、その行動はUNCLOSに準拠していない。このような行為の継続は地域をまたいだ安全や安定、国際安全保障を脅かし、誤算が生じるリスクを増やす」と批判。PCGの「専門的かつ自制的な」作戦行動を称賛した。

 欧州連合のベロン大使は「このような事件が繰り返し、エスカレートすることは危険であり、非常に不穏だ」とし「南シナ海における国際法順守への比の呼びかけにわれわれも賛同する」と宣言した。(竹下友章)

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