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9月9日のまにら新聞から

比豪同盟を格上げ 戦略的パートナーシップ締結

[ 1162字|2023.9.9|政治 (politics) ]

マルコス大統領と豪首相が会談。両国関係を戦略的パートナーシップへ格上げ

 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議から帰国したばかりのマルコス大統領は8日、比を公式訪問しているオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相と会談し、比豪同盟を戦略的パートナーシップへ格上げすることで合意した。

 包括的パートナーシップから格上げとなった今回の戦略的パートナーシップに基づき、両国は今後、防衛や海洋安全保障、テロ対策や法執行にとどまらず、気候変動対策や教育、開発問題や人的交流まで幅広い分野で協力を拡大する。

 大統領はアジア太平洋地域における比豪関係の重要性を強調した上で、「戦略的パートナーシップ共同宣言(JDSP)は両国の成長と繁栄に不可欠な分野での協力深化へ、双方が貢献することを約束するものだ」と述べた。

 また、会談前日まで両首脳が参加していたASEAN首脳会議で「(豪州首相が)比の海洋権益における主張が正しく認識されていないと明言した」として中国に対する比の主張を支持したアルバジーニー首相の支援に感謝を表明した。

 同首相は中国による南シナ海(西フィリピン海)のほぼ全域の領有権主張を退けた国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく仲裁裁判所による2016年の判決への支持を表明し、「われわれは安全保障に対する集団的責任がある。改めて同仲裁判決が最終的かつ拘束力のあるものだとして支持する」と明言した。

 また両首脳は国防大臣会合を毎年、開催することで合意。同首相は「我が国はミンダナオなどの紛争地域の平和と安定のために支援を惜しまない。紛争を減らし、元戦闘員の社会復帰、女性や子どもなど弱い立場にある人たちの生活向上と地域開発に、新たに5カ年プログラムを導入する」と明かした。

 比豪の国交樹立は今年で77年目を迎え、オーストラリア首相が来比するのは2003年以来20年ぶり。

 大統領府によると、オーストラリアは防衛・安全保障面で米国に次ぐ2番目に大きなパートナーで、1995年に防衛協力に関する覚書を交わし、合同防衛協力委員会を設置。12年には比豪相互訪問軍地位協定(SOVFA)も締結。今年に入り、日米など同盟国とともに比での合同軍事訓練も増えている。

 ▽人的交流の強化も

 両首脳は戦略的パートナーシップに加えて、いくつかの覚書に調印したことも発表した。それらは、①新たな就労・休暇ビザの取り決め導入②豪政府からの奨学金を享受できる学生数を倍増させる事業③豪国立大学での比研究機関の設立④比の国家土壌戦略の共同研究へ4400万ドルを供与⑤紛争の軽減や元戦闘員の社会復帰、女性や子どもなど弱い立場にある人たちの生活向上と地域開発に対する5カ年プログラムの導入――など。

 豪政府は比との人的交流や国際的教育の機会提供も拡充するとしている。(沼田康平)

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