ハラル分野で協力深化 マレーシア首相と会談
大統領がマレーシアのイブラヒム首相と会談。ハラル産業などでの関係強化で合意
マレーシアを25日から訪問しているマルコス大統領は26日、首都クアラルンプールの首相官邸でアンワル・イブラヒム首相と会談し、ハラル産業をはじめ両国関係を強化することで合意した。
両首脳は会談後に共同で記者会見を実施。イブラヒム首相は冒頭で「文化や歴史の繋がりの深い比の大統領訪問はマレーシアにとって大きな意義がある」と述べ訪問に感謝を表明した。
同首相は二国間の貿易や投資がわずかに上昇していると前置きした上で、「拡大すべきポテンシャルが大きくある」と民間レベルでの交流を深め、両国の経済を再活性化する政策や支援をともに策定したいとの意向を示した。ハラル産業についても「中東市場への参入を念頭に効果的な共同政策をとるべき」と強調した。加えて東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議でミャンマー問題における五つの合意についても議論を交わしたという。
一方、マルコス大統領はハラル分野での二国間協力を強調。大統領によると、比南部のバンサモロ・イスラム自治地区においてハラル産業やイスラム銀行、食料安全保障などの分野の能力開発において緊密に連携することで合意したともした。
その上で大統領は「マレーシアが重要性の増す同分野における比職員や役人の訓練を快く支援してくれる」と感謝の意を表した。また、マレーシアは世界有数のハラル大国であるとし、「同分野での協力がお互いのハラルエコシステムの成長に大きな利益をもたらす」とも述べた。
さらに、両首脳は次回の比マレーシア合同委員会の10月ごろの開催を目指すことでも一致。同委員会では国際犯罪や農業、ハラル産業、イスラム銀行、教育、観光や文化、スポーツ、デジタル経済における優先項目について協議される。これらの分野に対応する合意書(MOU)の調印に向けても取り組むとした。
▽記念の植樹も
今回国賓として招待された大統領は同日午前、クアラルンプールにある王宮イスタナ・ネガラを訪れた。スルタン・アブドラ国王、アジザム王妃が出迎えた歓迎式典で大統領はルイーズ夫人とともに芳名帳に署名し、アブドラ国王らと記念植樹も行った。
今回の大統領のマレーシア訪問はイブラヒム首相が3月に比を公式訪問してから4カ月たらず。来年に国交樹立60周年を迎える両国の親密度の高まりがうかがえる。(沼田康平)