初の3カ国協議開始へ 比日米安保担当高官
比日米の安全保障政策を審議する政府高官間の協議の枠組みが設けられ、初会合が日本で開かれる見通し
比日米間で、それぞれの国の安全保障政策を審議する国家安全保障会議(NSC)を取り仕切る政府高官間の協議の枠組みが新たに設けられ、16日にも初会合が日本で開かれる見通しだ。フィリピンからはエドゥアルド・アニョ国家安全保障担当大統領顧問=第48代・国軍参謀総長、日本からは秋葉剛男(あきば・たけお)国家安全保障局長兼内閣特別顧問=前外務事務次官、米国からはジェイク・サリバン安全保障担当大統領補佐官が出席する。
ABS-CBNニュースが外交筋情報として報じたところによると、会合は元々4月に予定されており、東・南シナ海や台湾海峡に対する進出と主張を強める中国を抑止することが狙いという。バイデン政権が「インド太平洋戦略」(2022年)、「国家安全保障戦略」(同)で打ち出した、同盟国やパートナー国・地域に軍事力強化を求め米軍事力との統合を進めることで中国に対抗する「統合抑止」戦略に則った枠組みと言えそうだ。
2月に開かれた比日首脳会談では、比日米間の幕僚・防衛実務者協議など3カ国協議の促進が約束され、5月の比米首脳会談では比日米・比米豪間の安全保障分野における「協力の形態を確立させる」方針が共同声明に盛り込まれていた。今月1日には初の比日米間合同海上保安訓練がバタアン州沖の南シナ海上で実施され、3日には初の比日米豪防衛相間会合が開かれるなど、多国間協力が急速に進んでいる。
ロシアによるウクライナ軍事侵攻により、現代でも大規模な武力による現状変更の試みが実行されうることが明らかになったことを受け、中国の海洋進出や台湾有事というリスクを念頭に岸田文雄首相は「アジアは明日のウクライナになる可能性がある」との懸念を各国に訴えている。(竹下友章)