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5月30日のまにら新聞から

初の比日米共同訓練実施へ 3カ国が最大巡視船投入

[ 990字|2023.5.30|政治 (politics) ]

初の比日米海保機関による本格共同訓練を実施へ。3カ国がそれぞれ最大巡視船を投入

比日米海保機関会合=29日、首都圏マニラ市PCG本部会議室で竹下友章撮影

 比沿岸警備隊(PCG)は29日、6月1日から7日にかけ、比日米3カ国海上保安機関による共同訓練を実施すると発表した。これまで日本の海保と米沿岸警備隊(USCG)が教官を派遣し共同でPCG隊員に制圧術やえい航訓練を教える取り組みは実施されていたが、3海保機関全てが巡視船を派遣する本格的な総合海上保安訓練を実施するのは今回が初。

 訓練には、比がBRPメルチョラアキノ=97メートル・日本供与、日本がPLH型巡視船あきつしま=150メートル、米国がUSCGストラットン=127メートル=と、それぞれヘリ登載可能な最大巡視船を投入する。

 実施場所は南シナ海に面するバタアン州マリベレス町沖の接続水域(領海基線から24カイリ)。4月26日にサンバレス州で実施された初の比米両軍による合同軍艦撃沈演習は領海(基線から12カイリ)内で行ったが、今回は1段階外に踏み出した。7日間で合同船隊運動、相互連絡、船上ヘリ運用、海上法執行、捜索救助など総合的な訓練を行う。特に海上法執行訓練では、大量破壊兵器の運搬船や海賊船との接触を想定した臨検訓練も行われる。また、豪州の沿岸警備隊職員がオブザーバーとして観戦する。

 PCGのバリロ報道官は記者団に対し「演習は敵対する国を想定するものではなく、3カ国海保機関の相互運用性を高めることが目的だ」と述べ、中国を刺激しないための配慮を示した。その一方で「この訓練が年次行事化し、将来的にはインド、豪州も参加することを望んでいる」と述べ、「同志国」内の多国間海上保安協力への発展に期待を寄せた。

 2月の比日首脳会談、5月の比米首脳会談では比日米3カ国に豪州を含んだ安全保障協力の強化の方針がうたわれたほか、20日の日米豪印の戦略枠組み「クアッド」会合の共同声明では、中国の海洋進出を念頭に東・南シナ海などでの「海洋秩序に対する挑戦」に対する対抗姿勢が明示された。

 南シナ海での中国海上民兵船とみられる船舶の操業に、人民解放軍海軍、中国海警局が連動してプレゼンスを強める中国の「グレーゾーン戦術」に対抗し、比米・比豪海軍による南シナ海での合同哨戒の計画が進行するなか、それと歩調を合わせる形で海上保安機関間の合同演習が実現した格好だ。海上のグレーゾーン事態への対処には海軍・海上保安機関間の切れ目のない連携が重要とされている。(竹下友章)

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