「中国攻撃に使用しない」 EDCA施設で大統領明言
大統領「EDCA施設は中国攻撃に使わない。米国からも要請を受けていない」
マルコス大統領は米時間4日、訪問先の米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)で、台湾に近いルソン北部への追加設置が決まった比米防衛協力強化協定(EDCA)に基づく米軍利用施設について「EDCA施設は災害対応が本来の目的で、中国をはじめ他国を攻撃するために使用することが意図されていない。(4月22日に)中国の秦剛外相が訪問したときにも説明を尽くした」と明らかにし、その上で「米国側からも他国攻撃のための軍事施設として使用する可能性を取り上げられていない」と明言した。米国との軍事協力を推進する中、過度に中国を刺激しないための配慮を示した格好だ。
その前日、大統領はガルベス国防相らとともに異例の米国防総省訪問を行い、比米相互防衛のあり方を規定するガイドランを史上初めて承認。中国が警戒する「アジア版北大西洋条約機構(NATO)」への一歩ともとれる多国間軍事協力を推進する方針で合意していた。
それに対し中国外交部(外務相)の毛寧副報道局長は4日、「比米ガイドラインは2カ国間合意であり、そうしたガイドラインを利用し、他国が中国の領土主権、海洋権益に干渉することに強く反対する」とけん制。「南シナ海は地域が共有する『ホーム』であり、地域外の力の『狩り場』ではない」と述べた。
米国での記者会見で、毛副報道官のコメントに対する見解を求められたマルコス大統領は「比は南シナ海に権益を有する国であり、これは米国宛であって比に対するものではないだろう」とした。
また、比米首脳共同声明で言及された比日米、比豪米の3カ国安全保障協力の内容については、「新しい安全保障環境が生じている以上、新しい取り組みを行う必要がある」と指摘。「米国、豪州だけでなく、韓国、日本や東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国も巻き込んだ取り組みを行う。国内で掲げたユニティ(結束)の理念を外交でも展開すべきときが来ている」と述べた。(竹下友章)