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4月14日のまにら新聞から

「国土防衛に緊急に取り組む」 初の対戦車ミサイル実弾演習

[ 1046字|2023.4.14|政治 (politics) ]

ウクライナで「聖ジャベリン」と呼ばれている対戦車ミサイルの実弾演習が比米合同軍事演習で初実施

歩兵携行式対戦車FGM―148ジャベリンの実弾合同演習=13日午後2時ごろ、竹下友章撮影

 ヌエバエシハ州パラヤン市マグサイサイ国軍基地第2射撃場で13日、今月11日から過去最大規模で実施されている比米合同総合軍事演習バリカタンの一部として、歩兵携行式対戦車ミサイル・FGM―148ジャベリンを使った対戦車実弾攻撃訓練が実施された。ブラウナー比陸軍司令官によると、比軍はジャベリンやそれに類する対戦車ミサイルを有しておらず、ジャベリンの合同演習での実弾演習は初めて。

 実弾演習では、比で事前レクチャーとシミュレーション訓練を済ませた比陸軍、米海兵隊、米陸軍の兵士が肩にジャベリンを抱え、軍用車両に見立てた600メートル先の標的に向かって計5発発射。軽めの発射音の直後、空中でロケットモーターが点火し加速、着弾時の爆発では周囲の空気が振動した。

 演習後、ブラウナー司令官は記者団に対し「陸軍の役割は国内擾乱(じょうらん)の鎮圧から、国土防衛にシフトしている。ロシア・ウクライナ戦争でジャベリンの対戦車作戦への有効性が確認されたことを踏まえ、昨年から慎重にこの実弾演習を計画していた」と説明。また「演習は『1インチも領土を譲らない』とのマルコス大統領の命令に沿っており、われわれは全ての脅威に対し緊急性をもって準備を加速させている」とした。その上で、ジャベリンなどの携行型対戦車ミサイルの調達計画が国軍近代化プログラム第3段階に入っていることを明らかにした。

 フリン米太平洋陸軍司令官は「この能力構築支援は国軍の抑止力の近代化に寄与する。今回の演習は、同志国同士が肩と肩とを合わせ協力するというメッセージとなるとともに、比軍が領土を防衛する能力を高める」と述べた。

 ジャベリンはロックオンした標的を自動追尾する高性能ミサイルで、他の携行式対戦車ミサイルとは異なり発射後に標的にレーザーを照射し続ける必要はなく、発射後に即時に退避可能。さらに発射直後の後部からの爆炎の吹き出しが少なく発射地点が見つかりにくいという特色を持つ。

 米国から大量のジャベリンの供与を受けたウクライナは、現在も続くロシアとの戦争で相手の戦車をゲリラ的に攻撃し、戦況を有利に変えることに成功したことで、「聖ジャベリン」とウクライナ国民からたたえられている。

 また、武力行使をいとわない統一を中国から宣言されている台湾は、ジャベリンを始めとする小型携行武器の大量配備を進め、軍事侵攻を受けた場合の相手側のコストを高めることで侵攻を抑止する非対称戦略「ヤマアラシ戦略」を取っている。(竹下友章)

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