比米合同海上パトロールを再開へ 米国防長官と比国防相の間で合意
オースティン米国防長官とガルベス国防相が会談で比米合同海上パトロールを再開することで合意した
米国防総省の3日発表によると、訪比していたオースティン米国防長官とガルベス国防相が2日の会談で、南シナ海における比米合同海上パトロールを再開させることで合意した。ガルベス国防相は、米軍が利用できる比国内の軍施設を4カ所追加することでマルコス大統領が承認したとも米国防長官に伝えている。米軍による比国内軍施設の利用拡大に加えて、合同パトロールを再開することで南シナ海における中国進出や台湾有事に備えた比米軍や沿岸警備当局の連携を強化する動きがさらに本格化しそうだ。
4日の英字紙インクワイアラ―によると、比米合同海上パトロールは2日のガルベス国防相とオースティン米国防長官の会談における最終局面でようやく合意に達したという。
この発表に対し、在比中国大使館は3日に声明を発表し、「米国の行動は地域の緊張を高め、地域的な平和と安定を弱体化させるものだ」と批判した。また、「フィリピン側が(米国に)利用されて、荒波に引きずり込まれることに抵抗するよう期待する」と比政府にもくぎを刺した。
米国防総省の発表によると、ガルベス国防相は3月か4月に米ワシントンで開催が予定されている比米外務・防衛閣僚級会議(2プラス2)に出席し、そこでオースティン国防長官と再び会談し、合同海上パトロールについて詳細を詰めるとしている。
ロムアルデス駐米フィリピン大使は最近、南シナ海における合同海上パトロールにはドイツとフランスの両国も参加する希望を表明していると明らかにしている。
南シナ海における比米合同海上パトロールは、中国との関係改善を優先したドゥテルテ政権下には一時中断されていた。しかし、マルコス政権になってからはドゥテルテ政権下の外交政策を転換し、米国との連携を強化する動きを見せている。
2014年に締結された比米防衛協力強化協定(EDCA)に基づいて米軍が共同利用できる比国内施設を現在の5カ所から9カ所に増やすことをマルコス大統領が承認したのを受けて、オースティン国防長官は記者会見で「われわれはフィリピンに恒久的な基地を設けることを目指しているのではない」と強調した。(澤田公伸)