「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
30度-24度
両替レート
1万円=P3,820
$100=P5885

2月2日のまにら新聞から

大統領訪日は8~12日 「ルフィの影響受けない」

[ 1176字|2023.2.2|政治 (politics) ]

大統領訪日は8~12日。「『ルフィ』の影響受けず、慰安婦問題も取り上げない」

 インペリアル外務次官補は1日の会見で、今月に予定されているマルコス大統領の日本への公式訪問の日程が8~12日になると発表した。国賓訪問国としては、インドネシア、シンガポール、中国に続く4カ国目。訪中は1月3~5日の3日間だったが、訪日はそれより2日長い5日間となる。

 大統領の公式な日程は9日からで、訪問団にはルイス大統領夫人、アロヨ元大統領も参加。岸田文雄首相との首脳会談、同首相との昼食会などを行い、訪問中に天皇皇后両陛下にも謁見(えっけん)する。最終日は日本の有識者らと昼食会を執り行う。

 会見でインペリアル次官補は、フィリピンから日本の連続強盗・窃盗事件に指示を出した「ルフィ」だったといわれる渡辺優樹ら4容疑者の送還問題が訪問に与える影響については「この問題は司法省が現在取り扱っている。4容疑者の送還が決定したら、政府は国内法に従い手続きを進める。この件は大統領訪日と全く関係を有しないと考えている」と説明した。

 ▽慰安婦取り上げない

 太平洋戦争中に日本兵により「慰安婦」にさせられたフィリピン女性たちが、日本政府に「正義」の回復のため公式な謝罪と賠償を求めていることについては「慰安婦問題も含め、1956年の比日賠償協定で全ての戦争犯罪に関する問題は解決したとみなされており、訪日中に慰安婦賠償問題を取り上げることはないだろう」と発言。

 その上で「比政府はこの問題は戦時中の非道な女性に対する暴力であり、被害者女性やその代表者がそのような(正義を求める)行動を取ったとしても妨げはしない」と、元慰安婦女性やその支援団体に対し中立的な姿勢を示した。

 訪日に際して締結される協定について同次官補は「あらゆる面で比日の戦略的パートナーシップの可能性を最大化し、防衛協力、政治、経済、人的交流の緊密化を促進することを目指す」と表明。具体的には、防衛協力、インフラ開発、情報通信技術協力を含めた7つの協定が締結される予定だとした。

 同次官補はまた「日比経済連携協定=2008年発効=で比から多くの農産物を輸出している」と指摘。その上で「今回の訪問で日本へのバナナとアボガドなど農産物の増加を期待する」とした。

 2017年に故安倍晋三元首相が比に国賓訪問した際は、日本は5年間で官民合わせて1兆円(90億ドル)の経済協力を約束し、昨年、5年間の経済協力は目標を超える1・38兆円を達成。政府開発援助(ODA)と民間投資の「迅速かつ確実」な実施は比政府に高く評価されており、日本がマルコス政権に総額いくらの経済協力パッケージを提示できるかも注目される。

 マルコス大統領が先月訪中したとき中国政府は企業投資を中心に、輸入約束、ODAも合わせ総額253億ドルの経済協力を約束している。(竹下友章、ロビーナ・アシド)

政治 (politics)