「投資約束持ち帰る」 大統領が中国へ出発
マルコス大統領が中国公式訪問に出発。きょう習国家主席と首脳会談
マルコス大統領は3日午後1時半ごろ、首都圏パサイ市のビリヤモール空軍基地から大統領専用機で中国公式訪問に出発、6時10分に到着した。大統領は就任以来、国際会議出席などのため計7カ国を訪問したが、国賓としての公式訪問は昨年9月のインドネシア、シンガポールに続き3カ国目。東南アジア諸国連合(ASEAN)以外の国では初となる。
大統領は出発前の会見で、「中国は最大の貿易相手国であり、政府開発援助(ODA)主要提供国。また、コロナ禍前は2番目に比への観光客が多かった国だ」と述べ、中国との経済関係の重要性を強調した。
その上で、インドネシア、シンガポール公式訪問時に総額8047億ペソの投資約束を取り付けたことを念頭に、「安価な食料の供給、再生可能エネルギー活用を含むエネルギー戦略の推進、持続可能なデジタル経済としての発展など優先分野に関する協力合意と投資約束を今回の訪問の成果として持ち帰りたい」と述べた。
大統領は「比中国交が樹立された翌年の1976年に、大統領夫人=当時=だった母イメルダに伴って中国を訪問した」と振り返り、現在の比中外交関係を樹立したのは父のマルコス元大統領であることにも触れた。
きょう予定されている習近平国家主席との会談については、海洋権益を巡り主張が対立する南シナ海問題を念頭に「平和と開発に関する将来性と機会を両国にもたらすため、比中関係の『ギア』を一段階引き上げたい」と述べ、トップ会談で政治・安保問題を議論する意気込みを示した。
また「比中関係は両国だけにとどまらない」とも発言し、国際社会を巻き込む形で対話を進める姿勢をみせた。中国は南シナ海の主権に関する同国の主張を全面的に退けた2016年の仲裁裁判所判断を無視し、他国の介入なしの2国間対話を通じた問題解決を望んでいる。
一方で、「コロナ禍で最初にワクチンや個人用防護具、技術協力を提供してくれたのは中国だった」と振り返り、「この支援への深い感謝を忘れていない。コロナ禍で2国間の信頼関係は強くなった」と述べた。
さらに、中国からの観光客、留学生、投資家受け入れを通じた人的・文化的交流を促進する意向を示し、「人的交流の強化はあらゆるレベルで2国間の認識のギャップを埋めるだろう」とした。今回の訪問では10以上の2国間合意に署名する予定という。(竹下友章)