「幸せなクリスマス過ごせる」 大統領が来年予算に署名
大統領が過去最大となる合計5兆2680億ペソの来年予算に署名
マルコス大統領は16日、過去最大となる合計5兆2680億ペソの2023年予算に署名した。22年予算から2440億ペソ、4・8%の増額。大統領は「議会から得られる最良の予算だ。これで幸せなクリスマスを過ごせる」と上下両院に感謝を表した。
ソニー・アンガラ上院財務委員長の事務所発表によると、来年予算最大の項目は教育省、高等教育委員会、技術教育技能開発庁(TESDA)、国立大学への教育関連費で9009億ペソ。次いで、公共事業道路省が8819億ペソ、保健省が3349億ペソ、国家警察を傘下に置く内務自治省が2553億ペソ、防衛省が2340億ペソ、社会福祉開発省が1995億ペソ、農務省が1787億ペソ、運輸省が1059億ペソ、各裁判所など司法機関が549億ペソなどだった。
ドゥテルテ前政権以上のインフラ投資を目指す「ビルド・ベター・モア」(BBM)で主要な役割を果たす公共事業道路省と運輸省は前年比でそれぞれ953億ペソ、301億ペソの増額。マルコス大統領が大臣を兼務する農務省予算は762億ペソ増額され、前年比で74・3%増加した。
サラ副大統領が大臣を兼務する教育省予算が大部分を占める教育予算は1124億ペソの大幅増額。
一方、社会福祉開発省は55億ペソ減額された。長期的に2倍以上のリターンがあるとされる教育投資や、経済発展・産業立地の基盤となるインフラ建設など高い費用対効果が見込まれる分野には増額される一方で、高齢者、障がい者、被災者など弱者への再分配を担う福祉予算は削られた。大統領は当選直後から投資として機能する分野を重視すると明言していた。
また、両院議長は最近、共産主義勢力との武力紛争を終わらせる省庁間タスクフォース(NTF―ELCAC)に100億ペソ、副大統領室に5億ペソ、教育省に1億5000万ペソの情報機密費を割り当てたと発表している。
パガンダマン予算管理相は予算の一部に大統領が拒否権を行使すると発表していたが、政府はまだ詳細を公表していない。比では憲法第6条27項2号の規定により、大統領には歳出、歳入、関税法に関して条文レベルで拒否権を発動する権能が認められている。(竹下友章)