合同演習「カマンダグ」終了 中露けん制念頭に
比米年次水陸両用の合同軍事演習「カマンダグ」が全日程を終える。自衛隊、韓国軍も参加
3日に始まった比米年次水陸両用の合同軍事演習「カマンダグ」(海の戦士の協力)が14日、全日程を終えた。演習には陸上自衛隊のほか、初めて韓国軍も参加。参加した将兵数は比・米軍3760人、韓国軍120人、自衛隊30人だった。また米軍は、島しょ防衛を想定した日本最大級の日米合同実弾演習「レゾリュート・ドラゴン」(北海道、1~14日)と同時に実施したことを強調。米国が「帝国主義的道を選択した」とするロシアと「国際秩序を変える意思と能力を持った唯一の競争国」指定した中国を念頭に、比日韓という極東の軍事同盟国と連携し、力による現状変更を強くけん制した格好だ。
タルラック州では13日、実弾を使った水陸両用攻撃および沿岸共同防衛の模擬演習を実施。ロシア・ウクライナ戦争でウクライナ軍の反転攻勢に力を発揮した移動式の高機動ロケット砲システム「HIMARS」、垂直着陸が可能な最新鋭米ステルス戦闘機「F―35B」も投入された。
演習には沖縄県うるま市キャンプ・コートニーに司令部を置く米軍第3海兵師団が参加。同師団のシュタール中佐はAP通信に対し、「HIMARSは最大300キロ離れた標的を攻撃でき、攻撃後は移動することで報復空爆を回避する。通常は通信システムなどへの攻撃に使われるが、敵の沿岸部の戦略地形奪取阻止にも活用可能だ」と説明。F―35Bについては「敵軍の位置を把握し、地上・上空に展開する同盟軍に情報を提供する役目を果たす」とした。
14日には、南シナ海南沙諸島に面するパラワン島プエルトプリンセサ市に米軍遠征高速輸送艦「ブランズウィック」(103メートル)、ドッグ型揚陸艦ラッシュモア(185・9メートル)、病院船マーシー(272メートル)など米軍艦船と米沿岸警備隊艦船が寄港。海上作戦の演習、航行の自由作戦、人道支援・災害対応訓練を実施した。
7日の総合訓練には陸上自衛隊も参加。人命救助機材とともに派遣された自衛隊員30人が比海兵隊と装備の使用訓練、米海兵隊とは放射性物質や生物・化学物質を用いた特殊武器に対応する訓練など、人道支援・災害救援に関する訓練を行った。
ビサヤ地方では11日から18日にかけ比米・比豪海軍合同演習「サマサマ」「ルンバス」が実施中。日本海上自衛隊のほか、英、仏、加、マレーシア、ブルネイ海軍もオブザーバーとして参加している。(竹下友章)