「海上安全保障で協力強化を」 大統領が岸田首相と初会談
マルコス大統領が岸田首相と初会談。安全保障問題や経済協力について意見を交換した
アンヘレス大統領報道長官は22日、第77回国連総会出席のため米国ニューヨーク市に滞在しているマルコス大統領が同日午前(比時間)に、岸田文雄首相と会談したと発表した。両首脳は、特に海上安全保障、領海問題、海上法執行、ミンダナオ和平の領域における協力の拡大・深化について意見を交換。地域の危機への対応と経済協力に関し2国の関係強化を推し進めることを確認した。
今回の会談は非公式のワーキングランチ形式だったが、マルコス大統領が対面で会見した首脳としては、インドネシアのウィドド大統領、シンガポールのヤコブ大統領に次いで3番目。米中首脳に先立ち比日「首脳会談」が実現したかたちだ。
マルコス大統領は「比日国交正常化から66年経ち、比日関係は地域で最も親しい関係の一つとなっている」と岸田首相に伝えるとともに、農業、食糧安全保障、エネルギー安全保障、インフラ整備、サイバーセキュリティーなど現政権の優先分野を紹介。岸田首相は比が上位中所得国入りするための経済開発支援を約束した。
両首脳はまた、比日関係の強化が「地域の平和・安定と人々のよりよい生活」という共通の目的の実現にもつながるとの認識で一致した。
岸田政権は6月30日のマルコス大統領宣誓就任式に、参議院選挙中にもかかわらず林芳正外相を派遣。2004年の川口順子元外相以来、18年ぶりに日本国外相の比大統領就任式への列席を実現させるなど、比を戦略的パートナーとして重視する姿勢を打ち出している。(竹下友章)