「重点分野で協力促進」 比日両外相が初電話会談
マナロ、林両外相が電話会談。農業、デジタル分野などでの協力を表明
林芳正外相とエンリケ・マナロ外相は17日午前10時過ぎ、初の電話会談を行った。経済協力について林外相は、コロナ後の経済復興と上位中所得国入りへの支援への関心を表明。更に、農業、エネルギー転換、デジタル、災害救助分野での連携促進の意向を伝えた。これに対しマナロ外相は歓迎と感謝の意を表明。林外相の提案はマルコス大統領の施政方針演説で強調した重点分野に沿っており「かゆいところに手が届く支援表明」と言えそうだ。
会談の最初で林外相は、2016年から日本が提唱している「自由で開かれたインド太平洋」実現に向け、今年で11年目を迎える比日「戦略的パートナーシップ」共同声明に沿った形で、マルコス政権との連携を強化したいとの意向を伝えた。マナロ外相は「幅広い課題に関しコミュニケーションを継続し、地域の重要パートナーの一つである日本と相互関係を更に発展させたい」と応じた。
自由で開かれたインド太平洋構想は2016年に故安倍晋三元首相が提唱。法の支配、航行の自由などの価値を重視するという点で、覇権を狙う現在の中国への対抗策にもなっている。その一方で「価値に賛同するなら中国も排除しない」というスタンスを取っているため中国との関係に配慮する各国にも賛同し易いとされ、比国、米国政府も採用している。
防衛分野では、自衛隊、比国軍間の合同演習を含む連携の促進に向けた調整を進めることを確認。また、ロシアのウクライナ侵攻、南シナ海・東シナ海問題、台湾およびミャンマー情勢に関して意見を交換し、共同歩調で地域の問題に対処することで合意した。
林外相は6月30日の大統領宣誓就任式にも参加。2004年にアロヨ元大統領の就任宣誓式に出席した川口順子元外相以来18年ぶりで、しかも参議院選挙期間中の外遊だったため、日本政府の比重視の姿勢を印象付けた。(竹下友章)