台湾問題は静観、同盟は進化を 大統領が米国務長官と会談
マルコス大統領がブリンケン米国務長官と面会。台湾問題について意見交換し同盟の進化を求めた
ボンボン・マルコス大統領は6日午前、比を訪問中のブリンケン米国務長官とマラカニアン宮殿=首都圏マニラ市=で会談を行った。大統領は中国による大規模演習など「対抗措置」を引き起こしているペロシ米下院議長の台湾訪問にも言及。「(ペロシ氏の訪台は)緊張を高めたというより、長年の緊張を顕在化させただけだと思っている。われわれはもう慣れているし、この問題は脇に置きたい」とし、静観する構えを示した。
大統領はまた、ウクライナ戦争など他の国際紛争にも触れ「国際関係が不安定化するなか、比米軍事関係と米国政府の比支援の重要性が増している」と指摘。比米同盟の「進化」を求めた。
ブリンケン長官は、経済協定やコロナ禍など「現実に存在する脅威」に共同で対処するための枠組みの構築に期待を寄せるともに、防衛問題について「われわれは同じ課題を共有している」と指摘。比米相互防衛条約の「確実な履行」を約束した。
同条約第5条は「両国の大都市、太平洋で管轄権が及ぶ島しょ、軍隊、公船、航空機への武力攻撃があった場合」に条約が発動すると規定。太平洋に含まれる南シナ海(比名・西フィリピン海)の「島しょ」について、米国は中国の主張を全面的に退けた2016年仲裁裁判所判断を公式に承認している。
午後のマナロ外務相との共同記者会見でブリンケン氏は「地域の海路の安全を保証するため、米国は台湾問題に関する緊張緩和に取り組んでいる」と説明。米国との対話打ち切りを警告する中国とのコミュニケーションを「継続していく」と明言し、「われわれはこの問題を40年以上にわたり管理し、戦争を回避してきた」と事態収拾への自信を示した。
一方で、人民解放軍が行っている台湾周辺の重要航路を妨げる海上軍事演習や弾道ミサイルの発射については「ペロシ下院議長の訪台を口実に武力による現状変更を行おうとする試みだ」とし、中国政府を非難した。(竹下友章)