米国務長官8月6日に来比へ マルコス大統領、マナロ外相と会談
米ブリンケン国務長官はアジア・アフリカ歴訪スケジュールの一環として8月6日にフィリピンを訪問する予定。首都圏でマルコス大統領およびマナロ外相と会談予定
米国務省は29日、ブリンケン国務長官が8月3~5日にカンボジアの首都プノンペンで開催される米・東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議に出席した後、8月6日にフィリピンを訪問することを明らかにした。マルコス大統領が就任して以来、米国の最も高位の政府高官による訪問となり、マニラ首都圏で大統領およびマナロ外相と会談する予定という。
在マニラ米国大使館の声明によると、「ブリンケン国務長官らはエネルギーや貿易、投資、コロナからの復興、民主主義的な価値の共有などフィリピンと協力する分野の拡大および同盟強化の取り組みについて協議する」という。
米国はマルコス政権に対して熱い視線を注いでいる。バイデン大統領はマルコス大統領の就任式に米代表団を率いて参加したダグラス・エムホフ氏=米国のカマラ・ハリス副大統領の夫=を通して米ワシントンへ招待する書簡をマルコス氏に渡している。また、日本同様に合同軍事演習の継続や様々な救援物資の供与のほかに、中国政府の主張を退けた仲裁裁判所の決定が出て6周年を迎えた7月には南シナ海における比側の領有権主張を支持する声明を矢継ぎ早に出すなど、比米間の関係強化に注力している。
▽ASEAN取り込みに注力
ブリンケン国務長官は今回、比以外にもアジア、アフリカ各国を歴訪する。来比前の8月3日~5日にはカンボジアで開催される米・東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議に参加し、新型コロナウイルスや気候変動、ミャンマー危機、ロシアのウクライナ侵攻などについて演説する予定だ。他にも東アジアサミット外相会議やASEAN地域フォーラムに出席予定。7日~9日には南アフリカ、コンゴ民主共和国、ルワンダを訪問するという過密スケジュールになっている。米国務省のプライス報道官は「長官は各会合で、ASEANの中心性やインド太平洋地域でのASEANの成功実現に対する米国の貢献を強調するだろう」と述べた。
ブリンケン国務長官がカンボジアでの米・ASEAN外相会議に参加する際に、中国の王毅外相との会談が再び実現する可能性も示唆されている。同国務長官と王外相は今月9日、インドネシアで開催されたG20外相会議の期間中にも会談をしている。しかし、昨今のペロシ下院議長の台湾訪問計画をめぐり米中間の緊張が高まっており、ブリンケン国務長官と王外相との会談が再び実現するか雲行きは怪しい。(沼田康平)