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7月26日のまにら新聞から

経済問題が大半占める 就任後初の施政方針演説

[ 1559字|2022.7.26|政治 (politics) ]

マルコス大統領就任後初の施政方針演説。内容のほとんどは経済問題

施政方針演説に臨むマルコス大統領=25日、ロムアルデス下院議長事務所提供

 ボンボン・マルコス大統領は25日午後4時、首都圏ケソン市の下院本会議場で就任後初の施政方針演説に臨んだ。大統領は約1時間20分の演説のほとんどを、マクロ経済・財政政策の中期目標、個別の重点産業政策やインフラ・エネルギー政策に費やし、極めて経済色の強い演説となった。

 大統領はまず、財政健全化に言及。税務行政システムの改革、デジタルサービスへの課税などを通じ、徴税の強化と効率化を進める方針を示した。その上で、「わが国は投資対象国とならねばならない」と強調。ドゥテルテ政権で進んだ企業復興税優遇措置法(CREATE法)や外国投資法、公共サービス法などの経済自由化法を活用し外資呼び込みを進めるとした。また、ハイテク産業や医療など「戦略的産業」を国内誘致するため、経済特区を「全面的に支援する」とした。

 財政健全化を促進するかたわら、政府支出については「政府支出の対国内総生産(GDP)比を20%以上に維持するよう拡大させる」とし、財政出動への積極姿勢も提示。政府支出を22年の4兆9550億ペソから、28年には7兆7120億ペソに拡大させるとした。「財政政策は高い乗数効果をもたらし、便益の最大化を達成するためある」とし、経済効率を第一とする姿勢を示した。

 具体的な数値目標として、28年までに貧困率一桁(9%)達成、23~28年に6・5~8%成長、25年までに累積債務残高対GDP比を60%に圧縮、24年までに一人当たりの国民所得4256米ドルを達成し上位中所得国入り、という目標を改めて提示。この中期財政戦略に対し、議会の同意と賛成決議の採択を求めた。

 大統領は次に自身が農務省を兼務して取り組む農業問題に言及。農地改革を通じ土地を供与された65万4000の農家に政府が貸し出している581億2500万ペソの負債を免除するとした。また5万2000ヘクタールの政府所有未耕作地は、土地を持たない帰還兵やその家族、退職警察のほか、土地を持たない農学専攻の大卒者に分配するとした。

 観光業については、「フィリピン・ブランド」の育成を通じたインバウンド観光増加による戦略的外貨獲得を提唱。政府の役割として、公共事業道路省と観光省が協同して国際空港や道路整備を進めるなど、観光インフラ開発に力を入れると宣言した。

 ▽インフラ投資は拡大

 インフラ投資政策については「ドゥテルテ政権のインフラ建設プロジェクトを継続するだけでなく、可能な限り拡大する必要がある」と繰り返し強調。「成長と開発の手段として極めて高い優先度を持っている」とした。インフラ関連支出は対GDP比5~6%に引き上げるとした上で、「官民パートナーシップ(PPP)を活用すれば可能な数値だ」と説明した。

 更にエネルギー分野について「国内外から投資を呼び込むのに不可欠な重要分野」と指摘。再生可能エネルギー開発の重要性を認めつつ「再生可能エネルギーへの完全移行には時間がかかる。それまでは従来型のエネルギーも開発するべき」とした。

 原子力発電については「福島原発事故以降、国際規制が強化された」としながら「こうした規制に対応した小型モジュール式原子炉などの技術が提唱されており、これらを活用するべきだ」と主張。また新規発電所建設にもPPP活用を訴えた。

 演説の最後に大統領は、これらの方針を実現するための政府19法案を提案。その第一に187の全省庁・行政機構の統廃合を通じた合理化を進める「適正規模化プログラム」を挙げた。同プログラムは約200万人の公務員・準公務員の雇用に影響を及ぼすと言われる。その他、予算近代化法案、固定資産鑑定改革法案、電子政府化法案、国有地活用法案などを挙げ、議会に協力を要請した。(竹下友章)

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