「判断弱体化させる試み断固拒否」 南シナ海裁判から6年で外務省
外務省が南シナ海判断6周年で声明。「判断を弱体化させようとするいかなる試みも断固拒絶」
比外務省は12日、2016年南シナ海仲裁裁判所判断から6周年を迎えるに当たり、同判断を「反論の余地がなく、最終的な決定」とし「この判断を弱体化させようとするいかなる試みも断固として拒絶する」との声明を発表した。
外務省は、同判断が「中国による九段線=南沙諸島、中沙諸島、西沙諸島を取り囲むU字型の破線=の主張を全面的に退けるとともに、同国が西フィリピン海(南シナ海)で実効支配する岩礁の埋め立てを進めていることについて『国際法違反』とし、比の排他的経済水域(EEZ)内での活動を主権侵害と判断を下した」と指摘。同判断に準拠し、比の領海、EEZを改めて主張した。
これに合わせ、米国務省のブリンケン長官も声明を発表。中国を名指しし「国際法上の義務を守り、挑発的行為を止める」よう要求した。また、「南シナ海で比国軍、公船、航空機が武力攻撃されれば、1951年の米比相互防衛条約が発動される」とし、南シナ海で比中が武力衝突した場合の米軍参戦を明言した。
▽前政権と同じ轍踏むな
南シナ海における比の領海・管轄権を主張する青年団体「西フィリピン海連名」(WPSC)は11日に声明を出し、マルコス新政権に対し、中国に融和的姿勢をとった前政権と「同じ轍(てつ)を踏むな」と訴えた。
同声明はドゥテルテ前大統領の外交方針を「敗北主義的対中外交」と非難。「もしマルコス大統領が中国の威嚇の前に崩れ落ち、われわれの漁民を見捨てそうになったら、(中国に毅然とした態度で臨むという)マルコス大統領に約束を守らせる行動をとる」と宣言した。(竹下友章)