「新たな比中黄金時代を」 王毅外相が比を公式訪問
中国の王毅国務委員兼外相が比を公式訪問し、ボンボン・マルコス大統領と会談
東南アジア諸国を歴訪中の中国の王毅国務委員兼外相は6日、フィリピンを公式訪問し、ボンボン・マルコス大統領に面会した。大統領府で開かれた会談には、マラノ比外務相、黄渓連駐フィリピン中国大使も出席した。それに先立ち開かれた両国外相会談で、王外相は「ドゥテルテ前政権期に比中両首脳の正しい指導の下、両国間に跨る『あらゆる種類の困難』を克服してきた」と強調。また中国を「最も強力なパートナー」と表現したマルコス大統領の発言を引用し、「マルコス大統領の就任で、比中は新たな黄金時代を築けると確信している」と述べた。
さらに王外相は「中国は比との包括的・戦略的パートナーシップの全ての領域で、比と同じ方向に進む準備ができている」と発言。前政権で、領土問題を棚上げにしながら進められたものの政権末期に比から交渉打ち切りが宣言された、南シナ海南沙諸島(比名西フィリピン海カラヤアン諸島)のレクト礁の共同探査事業の継続も念頭に入れた発言とみられる。
それに対しマナロ外相は「コロナ禍からの復興の取り組みにおいて、中国はよき友人であるとともに親しいパートナーだ。大きな困難を前に力を合わせ、助け合いながら国民を前進に導いてきた」と返礼。「全ての領域」での協力促進を希望する中国に対し、ワクチン供与などコロナ対応における感謝を示すに留めた。
王毅外相は2日からミャンマー、タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシアを歴訪後、中国チワン族自治区でベトナム、カンボジア代表と会議を開く。東南アジア諸国連合(ASEAN)を重視する米国の「対中包囲網」形成の動きに対抗し、各国の取り込みを図る意図もあると見られる。(竹下友章)