「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
33度-25度
両替レート
1万円=P3,780
$100=P5880

6月1日のまにら新聞から

5閣僚新たに内定 予算管理相はジョクノ氏の「懐刀」

[ 1232字|2022.6.1|政治 (politics) ]

新たに5閣僚内定。次期予算管理相はジョクノ氏「懐刀」のパガンダマン総裁補佐

予算管理次官時代のアメナ・パガンダマン次期予算管理相=2018年、予算管理省公式フェイスブックより

 次期大統領に当選したボンボン・マルコス氏陣営は5月30日、新たに次期内閣の5閣僚人事を発表した。予算の支出を司る予算管理相には、ジョクノ次期財務相=現中央銀行総裁=の「懐刀」を務めてきた中央銀行のアメナ・パガンダマン総裁補佐が内定。バリサカン次期国家経済開発庁官=現公正取引委員長=を含め、経済主要3閣僚の顔ぶれが決まった。次期観光相にはクリスティーナ・フラスコ現リロアン町長、次期社会福祉開発相にはACT―CISのアーウィン・トゥルフォ党首、次期情報技術相にはイバン・ウイ元情報技術委員長、次期大統領府管理室長にマリア・アンピン元下院議員がそれぞれ内定した。

 パガンダマン氏は比最古の商科大であるファーイースト大を卒業後、フィリピン大で開発経済学修士を取得。ジョクノ総裁が予算管理相の時代(2016~2019)は予算管理次官として、予算作成と執行の中心となった。

 パガンダマン氏は声明で「今は歴史上重要な局面。コロナ禍からの経済回復を支援する予算の作成・執行に全力を尽くす」と決意を述べ、また予算システムの近代化も「優先事項」とした。

 「投資となる政府支出を優先する」というボンボン氏の方針のもと、「経済成長による税収増で政府債務のコントロールは可能」との立場を取るジョクノ次期財務相と歩調を合わせ、経済成長を優先した国家予算の策定を目指すとみられる。

 ▽観光相はサラ氏盟友

 次期観光相に内定したフラスコ町長は19年からサラ次期副大統領個人の広報担当を務め、サラ氏の進退に関する「観測気球」を打ち上げる役目を果たしてきた。また、母はセブ州のグエンドリン・ガルシア知事で、夫はセブ州選出下院議員デューク・フラスコ氏。セブ州で勢力を誇る両家を背後に付けている。

 比の観光業は、09~19年の10カ年で対国内総生産比が5・9%から12・8%へと倍増。コロナ前は主要成長産業であると同時に、サービス輸出によって経常赤字を押し下げる役目も果たしていた。「縁故人事」の印象が強いフラスコ次期観光相だが、観光業が本格的に再開しつつある現在、実務能力が問われそうだ。

 

 ▽司会者から長官へ

 次期社会福祉開発相には、政党リストで最大の3議員の当選を果たしたACT―CISを率いるジャーナリストのアーウィン・トゥルフォ氏が抜擢。同氏は庶民からの通報を受け取り、政府官庁に直接苦情の電話を入れる番組で人気を博していた。

 トゥルフォ次期社会福祉開発相は声明で「社会福祉開発省では膨大な仕事が待っている。貧困に苦しむ国民への支援へ全力を尽くす」と述べた。

 同氏は2019年、ラジオ番組でのインタビューを拒絶したバウティスタ現社会福祉開発相に電話で「お前は狂っている。ひっぱたいて便器に顔を突っ込んでやる」などと暴言を吐いて問題となっていた。

 同氏の兄でジャーナリストのラフィー・トゥルフォ氏は9日の上院選で3位で当選した。(竹下友章)

政治 (politics)