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5月13日のまにら新聞から

米中首脳が競って祝意 ボンボン「次期大統領」に

[ 1079字|2022.5.13|政治 (politics) ]

米中首脳がほかの主要国に先駆けボンボン氏を次期大統領として祝福

12日にボンボン・マルコス氏を表敬訪問し習近平国家主席の祝意メッセージを手渡した黄渓連駐比中国大使=ボンボン・マルコス選対本部の配信

 ボンボン・マルコス、サラ・ドゥテルテ正副大統領候補の陣営(ユニチーム)が勝利を宣言した翌日の12日、米バイデン大統領はボンボン氏に電話で直接祝意を伝えた。また新華社通信は、習近平中国国家主席も同日、ボンボン氏に祝福のメッセージを送ったと報道。黄渓連駐比中国大使が12日、ボンボン氏を表敬訪問し、祝意の書簡を直接、手渡した。

 主要国の首脳としては、米中が先陣を切り、ボンボン・マルコス氏を次期大統領と承認、祝意を表した。

 ロムアルデス駐米比国大使によると、バイデン大統領は大統領専用機から米時間11日午後9時(比時間12日午前9時)ごろ、ボンボン氏に電話。「比米同盟を強化するとともに、コロナ禍、気候変動に対処し、包括的な経済成長を実現し、人権保護の促進ために共に働けるのを楽しみにしている」と伝えたという。

 昨年バイデン政権が発足して以降の比米関係は、訪問米軍地位協定(VFA)の破棄宣言が撤回され、比米合同軍事演習「バリカタン」を過去最大規模で実施するなど冷え込んでいた関係が急速に回復。

 バイデン大統領もオバマ元大統領と同じく民主主義や人権など価値観を重視の外交を展開するが、「麻薬戦争」に関する人権問題で現政権に批判的姿勢をとったオバマ元大統領とは異なり、比を米主催の民主主義サミットに呼ぶなど、民主国家として接している。そうすることで比を自陣営に引き込み、中露封じ込め政策を展開する狙いも垣間見える。

 ボンボン氏の父・故マルコス大統領政権下の比は、いわゆる西側についた「開発独裁政権」として、ジョンソン、ニクソン、レーガン歴代大統領と親密な関係を築いた。86年のエドサ革命(2月政変)で国軍が反旗を翻し民衆がマラカニアン宮殿を包囲した際は、米軍に助けを求め、ハワイに亡命している。

 なお、政府公式声明レベルでは、ボンボン氏の当選が確実となった10日に松野官房長官が他国政府に先駆け「次期大統領との緊密な関係を構築すべく取り組む」との声明を発表。越川和彦駐比日本国大使も同日「統一選挙の実施」を祝福すると共に「新政権との協働を楽しみにしている」とツイートした。個人名を避けながら、実質的に今回の統一選の正当性とボンボン次期政権を承認した格好だ。

 中国外交部の趙立堅報道局副局長は翌11日に同趣旨の声明を発表。ブリンケン米国務長官も同日、バイデン大統領に先立ちボンボン氏を祝福。その上で「人権保護を進め、自由で開かれ繁栄し強靭(きょうじん)なアジア太平洋地域を促進するための協同を継続していきたい」と述べている。(竹下友章)

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