ボンボン―サラペア拒否を 「報道の自由デー」に合わせ呼び掛け
人権団体が「世界報道の自由デー」に合わせ、ボンボン―サラペアに投票しないよう呼び掛け
人権団体カラパタンは「世界報道の自由デー」の5月3日、フィリピンおよび世界のジャーナリストやメディア関係者、表現や報道の自由の擁護者と共に、ボンボン・マルコス、サラ・ドゥテルテ正副大統領ペアを選挙で拒否するよう、改めて呼び掛ける声明を発表した。
同声明によると、選挙を1週間後に控えた重要な局面で報道機関が果たせる役割は、真実と国民の知る権利の擁護のみならず、選挙後の警戒を怠らないことも大切との認識を示した。同ペアは各種世論調査でトップを走っているが、ボンボン候補の父親フェルディナンド・マルコス大統領の時代は、報道の自由が著しく後退したという。
同声明は「自由で民主的なはずの社会であるにもかかわらず、ジャーナリストへの攻撃に対する責任はおろか問題として見なされない文化が続いている」とし、パラワン州でラジオ報道に携わっていた環境活動家兼ジャーナリスト、ジェリー・オルテガ氏が2011年に殺害された事件に言及した。同事件では当時パラワン州知事だったマリオ・レイエス氏が殺害指示を行った首謀者として逮捕されたが、未決で保釈となっており、同州知事に再度立候補している。
また、民放大手で2020年に放送免許更新を拒否され、大幅な経営縮小を強いられたABS―CBNを挙げ、「フェルディナンド・マルコス元大統領の時代に初回の閉鎖に遭っていた」事実にも触れた。「マルコス戒厳令ではメディア機関が閉鎖され、政府所有のメディア以外の出版物や番組には検閲が入った。それから半世紀経つが、フィリピンの報道の自由の歴史における最も暗い時代はまさに現代の問題だ」との見方を示した。
さらにラップラーをはじめとするネットメディアやジャーナリストへの赤タグ付やサイバー誹謗中傷、脅迫、不当逮捕といった報道の自由への弾圧が現政権下で拡大傾向にある点も指摘した。
その上でカラパタンは「ボンボン、サラ正副ペアが選挙以降、報道の自由にとって最大の脅威となることは明らかだ。ボンボン氏が広める修正された壮大な歴史やフェイクニュースによって歪曲された事実への批判封じ込めのキャンペーン」に目を光らせ、監視を強める必要性を訴えた。 (岡田薫)