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2月8日のまにら新聞から

きょうから正副大統領選 5月7日まで3カ月間

[ 2798字|2022.2.8|政治 (politics) ]

正副大統領選挙がきょうから運動期間に。激しい選挙戦が5月7日まで続く

 フィリピンの正副大統領や上院議員などを選ぶ国政選挙の選挙運動期間が8日から始まる。国内の有権者6570万と海外在住の比人180万人の有権者に対して激しい選挙運動が3カ月間、5月7日まで続く。投票日は5月9日。

 今回の国政選挙の立候補者は、大統領候補10人、副大統領候補9人、上院議員候補64人、下院の政党リスト制を通じて選ぶ177人となっている。比では大統領と副大統領は別々に選出されるため、現在のドゥテルテ大統領とロブレド副大統領のように与野党で政党が違うことも起きる。上院議員の定員は24人だが、今回は改選議席12をめぐる選挙戦となる。下院の政党リスト制は全国の有効投票総数のうち2%の得票を獲得するごとに各政党の登録候補が自動的に1議席を確保し、最大3人まで下院に送り込める。同日投票となる地方選挙(下院地方区や地方自治体首長、州・市・町議会議員など)は3月25日から選挙運動期間となり、全国で1万8000以上の議席が争われる。

 大統領選の立候補者は、故フェルディナンド・マルコスの息子ボンボン・マルコス元上院議員、ロブレド副大統領、モレノ・マニラ市長、元ボクシング世界チャンピオンのパッキャオ上院議員、元警察庁長官のラクソン上院議員、ドゥテルテ大統領の元報道官アベリャ氏、デグズマン勤労大衆党党首、アロヨ政権で国防長官を務めたゴンザレス氏、実業家マンゴンダト氏、医師であり弁護士であるモンテマヨール氏が名前を連ねる。

 ドゥテルテ大統領は当初、自身の政党PDPラバンの大統領選公認候補として、同盟政党である血盟連邦党(PDDS)を通じて立候補届を出したボン・ゴー上院議員を擁立していたが、ゴー氏の立候補取りやめによって空席となっている。PDPラバンは1月21日、副大統領候補のサラ・ダバオ市長支持を発表したが、サラ氏とペアを組む大統領候補ボンボン氏への支持表明は見送っている。

 PDPラバンのサラ市長支持は、既定路線だったとみる向きもあるが、ペアのボンボン氏は、1995年に脱税の有罪判決を受けたことによる候補者資格取り消し申立ての審査を抱えており、まだその結果が中央選挙管理委員会から発表されていない。

 アジア太平洋地域の政治・安全保障・経済問題などを専門に扱うオンライン雑誌「ザ・ディプロマット」は7日、この候補者資格取り消し問題が5月9日までに解決されないまま、ボンボン氏が当選した場合、公正で独立した選挙プロセスに疑義が残り、政治危機の大きな引き金になりかねないと指摘するモン・パラティノ氏の論考を掲載した。同氏によると、2004年、10年、16年の大統領選挙で選挙運動期間中に一番人気とみられた候補が選挙当日まで高い支持率を維持できず全員落選した例を示し、ボンボン氏が選挙戦を優位に運んでいけるかは、まだ推測の域を出ていないとした。ボンボン氏は現在世論調査でリードしているが、討論会やインタビュー番組への出演を相次いで拒否しており、自らの選挙戦を弱体化させる可能性もあると解説した。

 2016年の副大統領選でボンボン氏を僅差で破ったロブレド氏は、自身が党首を務める自由党推薦候補としてでなく野党系運動体イサンバヤンの推薦を受け無所属として大統領選に立候補した。自由党のイメージカラーだった黄色を捨てピンクを選挙運動カラーに採用し、立候補届け出後も左派系団体連合体マカバヤンブロックや左派系漁民組合パマラカヤ、ラモス政権下の元閣僚ら、さらにノイノイ・アキノ政権下の元政府高官らが次々と支持を表明。副大統領候補フランシスコ・パギリナン上院議員とペアを組み、ボランティア主導の選挙運動で選挙戦に臨む。

 副大統領候補はボンボン氏とペアを組むサラ・ダバオ市長、ロブレド氏のペアのパギリナン上院議員、ラクソン氏ペアのソット上院議長、モレノ氏ペアのユーチューバ―、オン医師、パッキャオ氏ペアのアティエンザ下院議員、社会主義学者ベリョ氏、プロライフ(生命尊重論)提唱者ダビッド氏、勤労大衆党のロペス氏、弁護士のセラピオ氏が立候補している。

 比の下院議員も務めたパラティーノ氏は「ザ・ディプロマット」への論考で、この選挙における注目はドゥテルテ氏の支持の行方だと指摘。「ドゥテルテ氏の支持を得ることによって、政府からの財政支援などを得ることが容易になる可能性がある。また、ドゥテルテ氏は国内を回り、特定の候補者の支持または不支持のキャンペーンを行うかもしれない。しかし、一方で、政府のコロナ対策や、経済を疲弊させた長期のロックダウン、麻薬戦争などに対する有権者の不満から、大統領による支持表明は実際には候補者にとって不利益なものになりかねない。つまり今回の選挙は、ドゥテルテ政権のレガシーへの可否を問う重要な国民投票でもあるといえる」とした。

 ウェブニュース、ラップラーも先月21日、有力な大統領候補は全員、ドゥテルテ大統領もしくはPDPラバンの幹部と接触しているとし、ラクソン上院議員の「この国にはドゥテルテ大統領を支持する十分な数がある」との言葉を引用。大統領選におけるドゥテルテ氏の影響力を示唆している。(渡辺誠)

▽タッグを組む正副大統領候補による8日の出陣集会のスケジュール

正(大統領候補):レニー・ロブレド

副(副大統領候補):キコ・パギリナン

日時:8日午後5時30分から

場所 :南カマリネス州ナガ市マグサイサイ通り

午前中に出陣式。上記の集会前に午後4時半から同市ペニャフランシア教会の聖母大聖堂でミサを行う予定。

正:パンフィロ・ラクソン

副:ビセンテ・ソット

日時: 8日午後5時から

場所 :カビテ州イムス市グランドスタンド

出陣集会の様子はフェイスブックでも配信予定。

正:マニー・パッキャオ

副:リト・アティエンザ

日時:8日午後3時から

場所 :南コタバト州ジェネラルサントス市

大統領候補:イスコ・モレノ・ドマゴソ

副大統領候補:ウィリー・オン

日時:8日午後4時30分から

場所: マニラ市ボニファシオ公園

正:ボンボン ・マルコス

副:サラ・ドゥテルテ

日時:8日午後4時から(午後2時開場)

場所 ブラカン州サンタマリア町フィリピンアリーナ

フェイスマスクを着用。入場時に予防接種証明書と身分証明書提示義務付け。18歳未満入場不可。

正:レオディ・デグズマン

副:ウォルデン・ベリョ

日時:8日午後6時から9時まで

場所 :ケソン市バンタヨグ・ナン・マガ・バヤニ記念碑広場

労働組合、都市貧困者・住宅所有者協会、環境保護団体、貧困層組織、一般市民が参加予定。

(7日のラップラー調べに基づく)

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