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12月26日のまにら新聞から

問われるのは中央選管 マルコス氏の資格問題

[ 734字|2021.12.26|政治 (politics)|新聞論調 ]

法の支配を維持し、正義を促進するという憲法上の使命を守るフィリピン民主主義最後の砦は、民事裁判所と憲法委員会になる

 法の支配を維持し、正義を促進するという憲法上の使命を守るフィリピン民主主義最後の砦は、民事裁判所と憲法委員会になる。

 民主主義・選挙支援国際研究所(IDEA)による「民主主義の世界的状況」2021年版では、比がインドやスリランカとともに「政治の軍事化に苦しんでいる」と結ばれたことを思い起こす必要がある。この報告書は、世界中の多くの政権が言論の自由を制限し、法の支配を弱めることで権威主義的な戦術をとり、民主主義を後退させているとの一般的な観察から、比の状況について非常に予見的なものだ。

 裁判所は政府の政治路線を内面化したり、政治の軍事化に乗っかるのではなく、法の維持に努めることが求められている。この国には皮肉なことに、1970~80年代前半のマルコス軍事独裁政権やそれを模ほうした政権より、法の支配と人権の尊重が長く続いたという遺産がある。今日この国が抱える問題は、国家テロの復活と1972年9月以降、経験したような制度化された権威主義へのさらなる転落を防ぐことができるか否かに左右される。

 私の前任者の中央銀行副総裁ベニト・レガルダ氏は2014年9月24日、「マルコス元大統領の過ちは秩序ある政権継承が行われなかったことだけではなく、独立した報道機関が閉鎖され、日本軍が統治した時代のように取り巻きの新聞だけが報道を許されたこと。市民的自由や憲法の枠組みが完全に破壊された」と書いている。

 今、ボンボン氏の立候補無効を求める請願が7つ提出されている。うち2つの請願が中央選管に資格取り消しを求めている。民主主義の枯渇を食い止めるため、選管の歴史に根ざした姿勢が今問われている。(23日・マニラブレティン、中央銀行副総裁ディワ・ギニグンド)

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