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11月23日のまにら新聞から

大統領、南シナ海問題を直接抗議 アセアン・中国特別首脳協議

[ 781字|2021.11.23|政治 (politics) ]

ASEANと中国の首脳協議でドゥテルテ大統領が南シナ海問題について中国に抗議

 東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の特別首脳協議が22日、オンラインで開催された。両者の対話関係が始まって30周年を記念し、中国からは、これまでASEANとの協議に出席してきた首相でなく習近平国家主席が共同議長として参加した。比からはドゥテルテ大統領やボン・ゴー上院議員らが出席。大統領は南沙諸島(比名カラヤアン諸島)アユギン礁(英名セカンドトーマス礁)で、中国海警局が比補給船に放水した事案に触れ「極めて不快」と抗議した。

 習国家主席は演説で、南シナ海(比名・西フィリピン海)の領土問題を念頭に「中国は決して覇権を求めないし、自分より小さな国を威圧もしない」とASEANに歩み寄る姿勢を示す一方、「外部からの干渉を排除し、ASEANと共に歩む」と述べ、米国など地域外の力をけん制した。

 一方、ドゥテルテ大統領は、中国の新型コロナワクチン供給に謝意を表し、中国の地域的な包括的経済連携協定(RCEP)加入とさらなる経済連携の強化に歓迎の意を示した上で「友人、そして親しい隣人として率直な意見を言わせてほしい」と、アユギン礁沖での事案に直接言及。「アユギン礁での事案は極めて不快であり、類似事案に大きな懸念を持っている」と抗議した。

 その上で、中国の主張を退けた16年常設仲裁裁判所の判断(南シナ海判決)と、海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)を「公正な解決に導く2つの灯台」とし、法の支配を尊重した領土問題の平和的解決を訴えた。

 16日に発生したアユギン礁周辺の中国公船放水事案を受け、米国務省は19日に「比船舶に対し武力攻撃すれば比米相互防衛条約が発動される」と中国に警告した。

 越川和彦駐比日本国大使も20日、公式ツイッターで「中国による東・南シナ海での一方的な現状変更の試みに強く反対する」との声明を出している。(竹下友章)

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