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11月16日のまにら新聞から

ドゥテルテ氏は上院選へ 代理立候補届け出期限迎え

[ 1252字|2021.11.16|政治 (politics) ]

副大統領選立候補かといわれていた大統領は上院選へ。父娘対決は回避

 来年5月に控える国政選挙の代理立候補届け出期限だった15日、ドゥテルテ大統領は代理人を通じ、上院選への代理立候補を届け出た。公認政党は最大与党PDPラバンでなく、同氏の支持者によって18年に結党された血盟連邦党(PDDS)=上院1議席=にくら替えした。娘でダバオ市長のサラ氏は13日に副大統領選に代理立候補。ドゥテルテ氏は「側近中の側近」ボン・ゴー上院議員に代わり、最大与党PDPラバンから副大統領選へ代理立候補する意向と報じられていたが、最終的に娘に道を譲り、父娘対決は回避された。

 大統領は13日のインタービューで、サラ氏が副大統領候補として立候補したことについて「大統領候補の世論調査でずっと首位だったのに、なぜ副大統領なのか理解できない」とし、サラ氏の決断への困惑を吐露した。大統領の副大統領選立候補計画はアンダナー大統領広報官も明らかにしており、大統領の頭には「結果として娘父正副大統領」のシナリオもあったとみられる。

 PDPラバンのマティバグ幹事長は15日、「ドゥテルテ氏が副大統領選に出ないなら、他党の候補者を推薦する」と発言。「もちろんサラ氏も推薦の選択肢だ」と明言した。サラ氏が同党の推薦を得られれば、副大統領選で与党分裂は回避されそうだ。

▽ボン・ゴー氏の涙

 13日、サラ氏の副大統領選立候補を受け、PDPラバンから正副大統領候補として届け出ていたデラロサ、ボン・ゴー両上院議員は共に立候補を取り下げた。

 その上で、ゴー氏はPDDSから大統領候補として代理立候補。PDPラバンでなくPDDSから立候補したのは、クシー派とパッキャオ派で党が二分し両派が党役員を立てている状況で「法的問題を回避する必要がある」とPDPラバンのクシー総裁から説得されたためという。クシー総裁は15日、ゴー氏を同党の推薦候補に指名した。

 ドゥテルテ氏はインタビューで「サラが副大統領選に出たために(ゴー氏が)PDPラバンの副大統領候補の立候補を取り下げた」ことを明らかにし「ゴーはサラが副大統領選に立候補すると聞いて泣いていた。私は泣くなと慰め、大統領の道があると説得した」と語った。サラ氏とペアを組むボンボン氏やパッキャオ氏など他の大統領候補を、自身が「支持するとは一言も言っていない」と伝えたという。

 一方、共産主義勢力との紛争を終わらせる国家タスクフォースで報道官を務め「赤タグ付け」で知られるパルラデ前報道官も、ドゥテルテ支持者により設立されたフィリピン民主の会(KDP)=18年設立、上下両院議席0=から大統領選に代理立候補。「ドゥテルテ路線の継承」を旗印に掲げたが、ゴー氏については「協力できない。彼も国が抱える問題の一部になっているからだ」と対立姿勢を鮮明にした。大統領選では与党候補分裂の様相が色濃くなった。

 現政権下で2度目の大統領報道官を務めるロケ氏も15日、与党・国民改革党(PRP)=91年結党、下院議席1=から上院選に代理立候補した。(竹下友章)

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