「癒やし、復興と和解を」 モレノ氏、大統領選に立候補
モレノ市長が大統領選への立候補を届け出た。反現政権陣営が分裂
マニラ市のモレノ市長は4日午前、パサイ市の立候補受付会場で大統領選への立候補届を提出した。パッキャオ氏に続きモレノ氏と現政権に対抗する統一候補として有力視されていた人物が別々に立候補したことで、現政権への批判勢力の統一を目指し、ロブレド現副大統領を公認候補に指名した「イサンバヤン」が空中分解する可能性も出てきた。
モレノ氏は立候補後、記者団に「国を癒やし、復興と和解をもたらす大統領」を目指すことを強調、ペアを組む医師でユーチューバーのウィリー・オン氏への投票も訴えた。
一方、「ドゥテルテ氏とつながっているのか」「野党候補なのか」といった質問には「誰とでも一緒に働けるだろう」とかわし、「特定の政党や派閥、団体、地域、年齢層にこだわらず取り込み、広い視野で政権を作りたい」と述べた。
「ドゥテルテ副大統領とも一緒に働ける」と公言していたモレノ氏には、「ドゥテルテ氏の隠し候補」とのうわさも立っていた。それに対し1日、うわさを広めている人たちは「恐らく薬物でハイになっているのだろう」とし、自らを「野党の民主行動党候補だ」と改めて表明した。
▽幻のペア構想
元マニラ市長経験者であることからモレノ氏と面識があり、今回パッキャオ氏のペアとして副大統領選に立候補したアティエンザ下院副議長は4日、モレノ氏とパッキャオ氏にペア結成を働きかけてきたことを明らかにした。「2人とも大統領になりたがっていた」ことがペア構想が実現しなかった背景だとしている。
「野党系候補の統一が第一」とし、パッキャオ─モレノペアへの支持を表明していたロブレド氏は、イサンバヤンが自身を公認候補に指名した後も回答を保留している。立候補届けの締め切りは8日、代理立候補期限は11月15日まで。比の選挙では直前まで正副ペアが入れ替わることも珍しくない。(竹下友章)