「サラはゴーと組んで出る」 正副大統領選でドゥテルテ氏発言
ドゥテルテ氏「サラはボン・ゴー上院議員とペアを組み大統領選へ立候補する」
ドゥテルテ大統領は2日、自身の副大統領選立候補取り止めと今期限りで政界から引退することを表明した後、記者団に対し、娘のサラ・ダバオ市長が「ボン・ゴー上院議員とペアを組み大統領選へ立候補する」と語った。一方、麻薬戦争における超法規的殺害など人道に対する罪で国際刑事裁判所(ICC)の捜査対象となる可能性のある大統領による突然の政界引退表明に対し、人権団体などからは「本当に引退するのか」と怪しむ声も出ている。
ABS?CBN電子版など各メディアによると、大統領が名誉総裁を務める最大与党PDPラバンとサラ氏率いる地方政党・改革党が連携するか否かについて聞かれた大統領は、「政党の連携は数え切れないほどあるから分からない」と述べた。
副大統領選への立候補届け出を行ったゴー氏は3日時点で大統領発言に関するメディアからの問い合わせに沈黙を貫き、サラ氏のスポークスマン・フラスコ氏も「ノーコメント」としている。サラ―ゴーのペア案は大統領が以前にもサラ氏に提案したシナリオの1つだが、サラ氏はそれを拒絶していた。
▽本当に引退するのか
ロイター通信によると、国際人権NGOヒューマンライツウォッチ比支部のカルロス・コンデ研究員は大統領の引退表明に「言葉通りには受け止められない」と疑念を呈した。本当にドゥテルテ氏が引退するならば、「それは『麻薬戦争』に関するICCの捜査と訴追から逃れられなくなることを意味するからだ」とした。
人権派弁護士で麻薬撲滅政策犠牲者への支援を行っているネリ・コルメナレス氏も「大統領は自身の政治権力を手放さないだろう」と引退宣言を疑問視。「政界を引退したからといって、超法規的殺害への説明責任が免除されるわけではない」と指摘した。(竹下友章)