大統領選候補で世論調査 反政権連合「イサンバヤン」
来年5月の大統領戦で「イサンバヤン」は公開世論調査を実施し、候補者決定に一般の国民にも参加してもらう予定
来年の大統領選挙で現政権批判勢力の結集を目指す「イサンバヤン」は、6月中旬から公開世論調査を実施し、候補者選びに一般の国民にも参加してもらう予定だ。18日付英字紙トリビューンなどが報じた。
イサンバヤンの呼び掛け人の一人、弁護士のハワード・カリェハ氏が17日、民放テレビ局のインタビューで、独立記念日にあたる6月12日から公開調査を2週間〜1カ月の予定で開始することを明らかにした。
集まったデータを来年5月9日の正副大統領と上院議員の選挙の候補者を選ぶ参考にする予定。カリェハ氏は、比の有権者は「十分に成熟している」と述べ、イサンバヤンの候補が政権側のドゥテルテ後継候補に対抗できるとの自信も示した。
カリェハ氏によると、現在作成途中の候補者リストに入っている人物としては、トリリャネス元上院議員、ロブレド副大統領、グレース・ポー上院議員、モレノ・マニラ市長が含まれており、さらに2〜3人の政治家と交渉中。当初のリストには、ナンシー・ビナイ上院議員が含まれていたが、同氏は大統領や副大統領を目指すことを拒否したという。
現段階で大統領選に一番意欲的なのは、トリリャネス元上院議員とみられる。今月12日にはロブレド副大統領が立候補しない場合には立候補する考えを表明した。ロブレド氏は16日のラジオで「地方職(自治体首長)の方が魅力的」とする一方で、大統領選立候補も「視野に入れている」として、22年の計画は未確定と述べている。
▽勝てる候補は?
また、イサンバヤンの別の呼び掛け人、ルイストロ元教育相は17日のテレビ番組で、6月12日までに候補者について「より明確なリスト」を作成すると述べた。「勝算があり、能力のある候補者を出したい」と考えているが、そのような資質を持った人は、自分から進んで申し出る人が少ないことも明かした。
「多くの人が立候補に興味を持っているものの、問題は勝てるかどうか、十分な支持と資金を集められるかどうかが分からないことだ。このような状況では、現職側が有利なのは当然だ」とも述べた。
▽注目のモレノ氏
作成中のリストに挙げられたモレノ・マニラ市長はこれまで大統領選立候補の意向を否定している一方で、政権側からも大統領候補に推す声が出ており、今後の去就が注目される。
イサンバヤンは、次期大統領選でドゥテルテ後継候補に対抗する候補擁立を目指す政治運動体。カルピオ元最高裁判事やデルロサリオ元外相、左派系政党バヤンムナのコルメナレス元下院議員ら広範な政治信条を持つ元政府高官や政治家らの呼び掛けで3月18日に発足、候補者選定を進めている。(谷啓之)