韓進の国営化を提案 国防相「艦船建造、修復に」 更生法適用 銀行信用低下も
ロレンサナ国防長官、経営破綻の韓進の国営化を大統領に進言。海軍艦建設のため
韓国系造船大手の韓進重工建設(HHIC)フィリピンが会社更生法適用を申請している問題で、ロレンサナ国防長官は16日、比政府が同社を国有化し、海軍艦船などの建設に活用することをドゥテルテ大統領に提案したと述べた。
同社の買収には中国系造船企業2社が興味を示しているが、南シナ海問題で比と対立する中国への売却には元海軍司令官のアレクサンダー・パマ氏らが懸念を示していた。
ロレンサナ長官は国有化提案について「国が所有し、海軍や沿岸警備隊の船舶を建設、修繕することができる」と説明した。
HHICフィリピンは、ルソン地方スービック湾域経済区に造船所を持ち、約2万人を雇用。2015年には比で初の液化石油ガス(LPG)タンカーを建造した。
長官は「大統領は前向きに検討しているようだ」とも述べた。
パネロ大統領報道官は「提案の一つに過ぎない」と慎重な姿勢を示したが、ラクソン上院議員も同日、上院予算審議の中で、公共事業道路省への予算を750億ペソ削り、HHICの買収に充てることを提案。「政府が所有し民間企業と共同経営すれば政府収入が期待できる」と利点を強調した。
同社は比で会社厚生法を申請した中では最高額となる4億1200万ドル(約215億ペソ)の負債を比銀行大手5社に対して抱えている。また、韓国国内では9億ドルの債務を抱えているとされる。
英字紙スター電子版は同日、韓進の同法申請を受けて格付け大手フィッチ・レーティングが「銀行各社の信用低下が起きる」との見通しを示したと報じた。(伊藤明日香)