バラギガの鐘 返還へ 比米戦争で奪われる ワイオミング州から
バラギガの鐘、ついに米国から返還へ。15日にワイオミング州で返還式典
20世紀初めの比米戦争中、米軍によってビサヤ地方東サマール州から持ち去られた「バラギガの鐘」が年内にもフィリピンに返還される見通しとなった。テレビ局ABS—CBN電子版が12日に報じた。
報道によると、バラギガの鐘が保管されている米ワイオミング州で15日に鐘返還に関する式典が開かれ、その後、比に送られる。米軍が持ち去った鐘のうち2つは同州にあるが、韓国の米軍基地にある残り1つについても返還される予定という。
パネロ大統領報道官は13日の声明で、返還に向けた動きを歓迎しつつ「比に到着するまでは返還されたことにならない」とのドゥテルテ大統領の言葉を伝え、返還実現を慎重に見守る姿勢を示した。大統領は昨年の施政方針でも米側に鐘の返還を求めていた。
国家文化芸術委員会(NCCA)のメンバーとして返還要求運動に関わったローランド・ボリナガ比大教授はまにら新聞の取材に「米国防権限法を根拠に鐘の返還が可能であるということを比交渉団が米側に強調してきた成果」と説明した。
これまで、ワイオミング州議員らは「戦没者のためにも返還すべきでない」と反発してきたが、トランプ大統領が昨年11月に署名した国防権限法ではマティス国防長官に鐘を返還する権限が与えられていた。
比米戦争中の1901年、比軍は東サマール州バラギガ町で米兵48人を奇襲して殺害した。米軍はその報復として住民ら2千人以上を殺害、戦利品として鐘を奪い去ったとされている。(伊藤明日香)