下院、バンサモロ基本法承認 「報われた」とMILF議長 大統領署名で発効へ
下院でバンサモロ基本法承認。ムラドMILF議長は「本当に嬉しい」と歓迎
フィリピン下院は24日、ミンダナオ地方のイスラム教徒が多い地区に高度な自治を認めるバンサモロ基本法(BOL)案を承認した。上院は23日に承認済みで、ドゥテルテ大統領も「(法案が渡されてから)48時間以内に署名する」と述べており、発効へと進む。
発効後は対象地域で住民投票を実施、最終的に自治地域に加わるかどうかを決める。
その後に正式に誕生するバンサモロ自治政府には議会が置かれ、予算立案・執行権を持つ。
域内のイスラム教徒に対してはイスラム法(シャーリア)に基づく司法制度を適用するが、キリスト教徒などイスラム教徒以外の住民はフィリピン一般の司法制度の下に置かれる。
キリスト教徒とイスラム教徒が裁判で争うような場合は、キリスト教徒の側に、どちらの法を適用するかを選択する権利が与えられる。
警察と軍は中央政府の管轄下に留まる。
政府との和平交渉に長年携わってきたモロ・イスラム解放戦線(MILF)のムラド議長は首都圏マカティ市で記者会見中に下院承認の知らせを受け「40年間の苦労が報われた。本当に嬉しい」と喜びを語った。一方で、「真の自治を実現するための努力を続ける」とも述べた。
MILFは比最大のイスラム武装組織で現在も3〜4万人を傘下に置く。ムラド議長は「段階的に非武装化を進めている。既に武装拠点6カ所は生産拠点に転化した」と明かした。
武装解除したMILF兵士には、警察官になる道なども用意されている。
ムラド議長は「これまでBOLが先送りされてきたことが過激派によるテロの一因となってきた」と指摘。今後は「衝突は沈静化する。第2のマラウィ占拠事件が起こらないよう最大限の協力をする」と述べた。(伊藤明日香)