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12月30日のまにら新聞から

必要なのは「開発」

[ 740字|2013.12.30|政治 (politics)|新聞論調 ]

 台風ヨランダ(30号)の被災地復興担当に指名されたラクソン前上院議員には、「(レイテ、サマール両島などで構成される)東ビサヤ地域を復興させれば、それでよい」と思ってもらっては困る。

 私の古里でもある同地域は被災前、イスラム教徒自治区(ARMM)に次ぐ最貧困地域であった。2012年の統計によると、住民の4割近くが食べるにも事欠く貧困ライン以下の生活を強いられている。

 このような惨めな状況に置かれてきた住民の誰が、「被災前の状態に復興させてほしい」と願っているだろうか。われわれが期待するのは、復興担当ポストの新設を定めた文書に記されている「戦略的な視野と短・中・長期の事業計画に沿った被災地の開発」だ。ラクソン前議員には、地元出身の政治家らが持ち得なかった強力なリーダーシップを期待したい。これまで、東ビサヤ地域出身の有力政治家がいなかったわけではない。特にマルコス独裁下の約20年間、国内最強の女性だったイメルダ元大統領夫人は地熱発電所とレイテ、サマール両島を結ぶサンファニコ橋を古里レイテ島にもたらした。

 発電所と橋が建設された時、サマール島を構成する3州の住民らは「レイテ島に工場が建設されたら、毎日、橋を渡って働きに行く」と期待した。しかし、電力はセブ都市圏向けであって、レイテ島に工場が建設されることもなかった。

 被災地復興計画が動き出そうとしている今、東ビサヤ地域が必要としているのは、直接投資と工場建設にほかならない。極貧状態は、住民に生産的な働き口を与えることで、おのずから解決へ向かう。世界の豊かな国々が被災住民を助けたいと思うなら、自然豊かな同地域にエコフレンドリーな工場群を建設してほしい。(27日・インクワイアラー、ロメオ・ボホール氏)

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