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5月23日のまにら新聞から

政治的意思を示せ

[ 727字|2011.5.23|政治 (politics)|新聞論調 ]

人口抑制法案審議

 フィリピン大学の卒業式で演説したアキノ大統領は、「責任ある保護者法」(人口抑制法)に関する自分の信念について、カトリック教会による「破門」の威嚇にも準備が整っていると大胆にも宣言した。大統領は演説で自分自身について語るのを好むようだ。

 新聞の見出しに絶好の宣言だが、2つの点で問題を含む。まず最初は、誰も大統領に破門で脅しをかけていないという事実である。これはある記者が教会関係者に避妊具の使用を支持すれば破門の処罰を受けることがあり得るのかという質問をし、それに対し「あり得る」と答えが返ってきた。しかし、ある無責任な新聞が「大統領への破門の脅し」として見出しに使ったのだ。大統領はこのような無責任な報道に同調すべきではなかった。

 もう一つは「責任ある保護者」という用語は今や社会開発分野では使われていないことである。これは人口抑制の言い換えとして1960年代によく使われたにすぎない。それ以降、国際組織の間などでは「リプロダクティブ・ヘルス」つまり性や生殖のコントロールを意味する単語に置き換わっている。アキノ大統領は言葉の勇気については評価されているが、道徳上の勇気を実践すべきだった。

 道徳上の勇気を持てば、大統領は即座に人口抑制法を優先審議法案に指定し、長年の望みがかなうかもしれないのだ。しかし、大統領は自分の言葉を実践する人物ではなかった。また、いかなる法案の修正も受け入れられないと彼は主張したが、内容については何も説明できていない。はたして大統領は下院で審議中の法案を実際に読んだことがあるのだろうか?私はもう少しこの問題の進展に貢献する政治的意思が存在していればと望むばかりである。(19日・スター、アレックス・マグノ)

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