選挙不正の布石か
新参謀総長任命
アロヨ大統領が自身の側近で大統領府警護班の班長を務めたことのあるデルフィン・バギット中将を新参謀総長に任命した。彼の任命は前任のイブラド参謀総長が退任する2日前に発表されたが、これは大統領任命が禁止されている統一選挙前60日間のモラトリアム期間を考慮に入れたギリギリの日程だった。
大統領は、このクーデターなどがよく起きる国にあって、自分の信頼がおける新参謀総長をぜひとも選びたかったのは明らかだ。バギット氏はこの条件に完璧に合った人物だった。ある批評家によると、このバギット氏はアロヨ大統領にとっては、かつてのマルコス大統領に忠誠を誓ったベール参謀総長に相当する人物だという。もし上司が飛び下りろと命令すれば何階の窓からでも飛び下りる忠誠心の持ち主だという。
しかし、このバギット氏は同時に同僚や先輩から非常に有能な兵士だという評価も受けているのだ。しかし、それにもかかわらず、今回の任命は、アロヨ大統領が自身の政治遺産を後世に残すよりも忠誠を誓った取り巻き連中に恩賞を与えることに力を注いでいることを示している。
バギット新参謀総長の任命について最も懸念されているのは、これがアロヨ政権が計画している選挙不正の布石ではないかという恐れである。イブラド参謀総長は公の場でこの懸念を否定したが、国軍幹部たちが2004年の選挙不正に関与したという疑惑すらまだ拭い去られていない。
国軍では過去数年間、脱政治化が図られてきた。しかし、バギット氏の任命はそれに対する反動とも見られている。今後数カ月間に彼が自分を任命した人物ではなく、国に対して忠誠心を見せてくれれば、反動ではないことが証明されるのだが。 (10日・スター)