新聞論調
誤った権力行使−大統領の巨額予算投入
アロヨ大統領が出馬表明した下院選パンパンガ州第2区に巨額のインフラ予算が投入された問題で、大統領の長男、フアンミゲル下院議員は「大統領として、地元住民の要望に応えて何の問題があろうか」と開き直った。
野党議員は大統領の政治的思惑が透けて見えるなどと批判した。端的に言うと、政治目的のために、自身の選挙区に膨大な国家予算を投入するのは大統領として間違っている。
また同議員は「地元の期待に応えられなかった大統領として歴史に名を残したくなかったのだろう」と大統領の意図を代弁、こんな時だけ地元根性を丸出しにした。地元への貢献度が大統領の遺産として評価されることはない。彼女は比国の大統領であって、田舎の町長ではない。
台風被災者向けの再定住地が建設されたラグナ州カラウアン町を訪問した大統領は、「国家予算は1兆ペソ以上ある。同町には(自身の選挙区より多い)6億ペソを費やした」と弁明した。
同町と自身の選挙区の事業を単純比較することはできない。台風被災者への再定住地は緊急支援だ。同選挙区で現在進行中の道路整備とは事情が異なる。被災者を再定住地に移住させる支援は棚からぼたもちではない。
大統領と側近らが巨額予算投入を正当化しようとすればするほど、愚かに響くだけだ。与党のスアレス下院議員は「一部下院議員は自身の選挙区にもっと多額の予算を投入している」と大統領を弁護した上で「権力の座にいる者は投入予算を拡大させることもできる」と語った。
一昔前なら、この発言は国中を騒がせただろう。国民は、不当な税金の使い道には怒りをぶつけるべきだ。国民のニーズや優先課題は関係がない。すべては権力者の気分次第で決定される。(9日・インクワイアラー)