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10月12日のまにら新聞から

新聞論調

[ 699字|2009.10.12|政治 (politics)|新聞論調 ]

ドラマの一場面

 台風オンドイ(16号)のような強い台風の襲来、貨客船転覆など、この国で災害や事故が発生するたび、我々は同じ光景を目の当たりにする。テレビに映し出されるのは救助作業や復興支援の調整に必至のアロヨ大統領の姿。

 被害状況は台風の威力により異なるが、毎年発生する約20の熱帯低気圧のうち、1つは必ず破壊的な台風へと勢力を強める。

 不思議なことに、豪雨による大洪水に見舞われた時だけ、政府は「救命ボートの数が不十分だった」「災害基金は底を突く」という事態に気付く。しかしどう大目に見ても、災害基金の不足は言い訳にならない。大統領が自身の政治目的のためなら、資金を工面してきた背景があるからだ。

 今回の台風被害で、被災者が通常の生活を取り戻すには1カ月以上を要するとされる。

 いま一度言う。長年にわたって政府に要請し続けた気象予報の最新機器が導入され、事前に国民に警告できていれば、今回のような大惨事は回避できたはずだ。

 2008年7月、ルソン地方ロンブロン州沖で起きた大型フェリー転覆事故の際、気象庁は台風の進路を正確に予測できなかったと非難され、最新機器導入の必要性を訴えた。その後,

大統領は、予算管理省に機器を購入するよう指示し、近く導入される見通しのようだ。

 しかし、仮に災害が規則的な頻度で発生したとしても、予想されるのは大統領と政府関係者が「事態収拾を図っている」とメディアの前で芝居じみた言動を取ることだ。

 結局、政府は非常事態に対応できず、破壊的な被害を招くことになる。それは、この国が災害に見舞われるたびに見るドラマの一場面でしかない。(4日・トリビューン)

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