新聞論調
復活の鍵は統治向上
1960年代までフィリピンはアジアのリーダーであった。特に、国民生活の質や国の発展度を示す「人間開発」で群を抜いていた。しかし、マルコス独裁政権下の略奪により、さらなる発展への道から外れ、アジアの近隣諸国に次々に追い越されてしまった。その結果、比はメードと肉体労働者を海外へ送り出す国と化してしまった。
マルコス独裁政治の残した負の遺産は重い。世界銀行によると、国際競争力や人間開発の面で、世界主要国に追いつけない状態が続き、ガバナンス(統治)に関する評価でも他のアジア諸国に水をあけられている。
最近公表された世銀の世界ガバナンス指標によると、比の「汚職の抑制」や「法の支配」の評価はやや上がったものの、依然としてアジア域内の平均値を下回っている。
特に「政治的安定」の評価は10・5(百点満点)で、アジア域内の平均値59・4に遠く及ばず、「国民の声と説明責任」も平均値以下の43・3にとどまった。
世銀調査が示しているのは、経済発展と良きガバナンスが密接な関係にあることだ。それは、アジア域内で経済的に成功している国々のガバナンス指標がいずれも高水準にあることからも分かる。
シンガポールや韓国、台湾などかつての新興工業国・地域(NIES)は、97年のアジア経済危機にもかかわらず、発展を続けた。比はこれらNIESやタイに追いつけないばかりでなく、今やベトナムにも肩を並べられようとしている。われわれは自己満足に浸っているのではなく、ガバナンスを向上させて近隣諸国に追いつかねばならない。(3日・スター)