米に軍備支援求めよ
比米軍事協力の課題
アロヨ政権はイスラム過激派、アブサヤフ掃討作戦への米軍実戦参加をめぐる騒動で、政府が被ったダメージを抑えるのに必死になっている。政府は外国軍の実戦参加を禁じた比憲法を米軍が尊重しなければ、ミンダナオ地方南西部スルー州で行われる予定の比米合同軍事「訓練」の中止もやむを得ないという方針だ。
米国の支援は有り難いが、支援が憲法に抵触するならば、比国軍だけでもアブサヤフを掃討できるというのだ。大統領は九十日以内の掃討を国軍に命じるなど、国軍の戦闘能力に強い自信をみせている。
政府の方針は一見したところ筋が通っているように思える。しかし、このほど行われた比米国防長官会談よりもずっと前に、比政府が掃討作戦への米軍実戦参加に合意していたと米側は主張している。国軍一部隊につき少なくとも訓練担当の二人の米兵が参加する予定だったという。
だが、比側はあくまで「米兵は実戦に加わらない」としている。特殊部隊の訓練では最終段階に実戦参加があるのを例に挙げ、「死者が出ても、訓練の域を超えることにはならない」と主張。一方米側は、「訓練で兵士が殺されることはない」とし、見解の食い違いが露呈していた。
レイエス長官はこれを「用語法の問題」としている。「訓練」とする比側、「作戦」とする米側の双方が受け入れられるよう文言を直せばよいというのだ。
しかし、これは問題のすり替えである。大統領と長官はまるで憲法の灰色部分を探そうと躍起になっている弁護士のようだ。もっと適切な対処法はできないのか。政府はトラックやヘリコプター、通信機器などの軍備支援を米国に求めるべきだ。よりよい装備と訓練、それに優れた指揮があれば、国軍は確実に任務を果たすことができるはずである。(4日・マラヤ)