問題の核心は合憲性
比米アブ掃討演習
レイエス国防長官はこのほど、米国防長官とミンダナオ地方南西部スルー州への米軍派遣問題について協議、「訪米は友好的、かつ生産的で成功だった」と述べた。発言をそのまま受け取ると「使命は十分に果たした」ことになるが、外交的に解釈すれば「失敗した」ということだ。政府職員が「友好的」などと述べるときは相手側と合意できなかったことを意味する。
レイエス長官は自ら「詳細を詰める必要がある」ことを認め、「米軍派遣をどう定義するか。その合憲性をめぐる問題の解決を模索している」と説明した。しかし、問題は定義付けにとどまるものではない。両国政府が米軍派遣を「演習」、「訓練」、「作戦」のうちどの名前で呼ぶのかに合意したとしても、果たしてわが国の憲法がそのような行為を許すのかという核心となる問題は残されたままだ。
米側が当初からイスラム過激派、アブサヤフの共同掃討作戦を計画していたことは明らかだ。米国防省は米軍が何ら制限を受けることなく、比国軍とともに実戦参加することを想定、米軍派遣の使命は「アブサヤフの掃討」と明確な姿勢を示していた。レイエス長官も「せん滅が容易になる」と米軍の実戦参加を歓迎した。ただし、同長官は双方による軍事行動を「演習」と呼ぶことにこだわり、訓練では死者が出ることも有り得るとしていた。
比側のどの人物が米側に米軍の実戦参加を保証したかは不明だ。軍事行動を「演習」としたブニエ大統領報道官の発言を米側は否定、「共同作戦」であると訂正するなど実戦参加に確固たる自信をみせていた。従って、米側に誤解があったとは考えにくい。この人物は実戦参加という明白な違憲行為をどのように対処し得ると考えたのだろうか。(5日・インクワイアラー)