新聞論調
支持者は声を上げよ MMDAの秩序回復策
アクション俳優の大御所、フェルディナンド・ポー氏(FPJ)が二〇〇四年の大統領選出馬に興味を示さないのと同様、首都圏開発局(MMDA)のフェルナンド局長(BF)も与党副大統領候補の地位には関心がない。大統領府が同局長の人気の高さを当て込んで、擁立しようと躍起になっているのにもかかわらず、「(副大統領でないなら)何者になりたいのか」とメディアに問われて「ジャニター(掃除人)」と答えたという。
このエピソードは、彼が政府内では数少ない、常識を持ち合わせた人物であり、「政治は嫌い」と言い放ったFPJ並みの賢明さを有している証と言えよう。FPJは盟友のエストラダ前大統領の悲劇を教訓とし、「優れた指導者であるために人気は必ずしも必要ではない」と既に学んでいる。
実際、「善意と誠実さ」で支持を得て政界入りした人物も、はびこる汚職や内部抗争で自らを失ってしまうケースはしばしば起こる。しかも、ベテラン政治家が認めるように、いったん政治家をやめてしまうと、力を蓄えたかっての政敵に支配されてしまうため、金と権力を求めざるを得なくなってしまうのだ。
交通渋滞や洪水を緩和するため、露天商や違法占拠民を一掃する作戦を展開中のBF。彼の強硬な手法は当事者から反発を買い、その様子が連日メディアをにぎわせている。他方、彼の政策を支持する一般住民は数ではるかにしのぐものの、意思表示をしない「サイレント・マジョリティー」である。
もしBFが副大統領の職を望み、票集めのために露天商などに寛容な政策を実施すれば、無秩序状態に拍車がかかるのは明白である。支持者は今、声を上げるべきだ。(3日・インクワイアラー、ニール・クルス氏)