決まり文句にうんざり
上下院選へ向け動く政界
早くも来年五月の上下院選に向けた動きが表面化している。これまでと同様、政府関係機関が、集票マシーンとしての役割を果たすだろうが、公金が選挙資金として使われないことを祈るばかりだ。
エストラダ大統領も政権与党「ランプ」の基盤をいかに強化するかということに苦心し始めている。しかし、与党議員にとっては、大統領の支持率低下という不利な状況が続いている。
新税導入、失業率の上昇、石油製品値上げ、ペソ下落、ミンダナオ紛争の激化も大きなマイナス要因。新税の導入は、短絡的に批判すべきではないが、選挙が近いために、「増収分が選挙資金になるのでは」と疑ってしまう。
選挙が近づくにつれ、与党という大船から下りる議員が出てくるに違いない。もし、野党勢力が勝利し、上下院を支配した場合、この国はどうなるのだろう。
現政権成立から二年。度重なるスキャンダル、経済成長の鈍化、治安状況の悪化を前に、有権者は「貧困ぼく滅」「治安回復」「クローニー(取り巻き)排除」という大統領の決まり文句に背を向け始めている。
さらに、国民は、人気の高さと統治能力が比例しないことも学んだ。今回、苦い経験をしたことで、有権者は二度と映画俳優を大統領にはしないだろう。悪態をつくアクション俳優を見たければ、何も大統領に選ぶ必要はなく、映画を見ればすむことなのだから。(6月30日・スター、アナ・パミントゥアン氏)