台風ヨランダ(30号)
被災地のレイテ州パロ町で傷んだ支援食料の大量廃棄。被災者に届かず配給に問題か
台風ヨランダ(30号)により甚大な被害を受けたビサヤ地方レイテ州パロ町で、傷んだ支援食料が2月から3月にかけて大量に廃棄されていたことが分かった。英字紙スタンダードトゥデーが11日報じた。支援食料が被災者の手元にまで届かず、救援物資の配給を担う社会福祉開発省(DSWD)や自治体による配給の問題があらためて露呈したかたちだ。
同省が、現金と引き替えに、被災地での同省の働きぶりを称賛するよう被災者に強要していたとの疑惑も浮上、コロマ大統領府報道班長は同日、支援物資の配給に過失がなかったか調査する意向を示した。
同紙の報道によると、パロ町は2月5日と3月6日の2回、トラックに積んだ支援食料を同町サンホセにある投棄場に廃棄し、土で埋めた。食料はビスケット、カップケーキ、缶詰、コメなどで、「傷んだ臭い」を発し、食べられない状態だったという。
同町の社会福祉開発担当職員は「食料が届いたときには、すでに賞味期限ぎりぎりだった」と話しており、毎日の降雨で傷みやすい状況だったと説明している。また食料が割り当てられたバランガイ(最小行政区)の議長が受け取りに来ないため、町の庁舎内に依然多くの食料がとどまったままとなっているという。
一方で、同紙の取材に対し「トラックが去った後に、投棄場を掘り返したところ、まだ食べられる食料があったので、持ち帰って食べた」「犬や家畜のえさにした」と話している住民もいる。
さらに、レイテ州選出のロムアルデス下院議員は記者会見で、ソリマン社会福祉開発長官が、現金1200ペソで同省を称賛する陳情書に署名するよう被災者をゆすっていたとの情報があると発言、、政府に警告した。
昨年11月8日の台風被災から4カ月以上が経過したが、家と生計手段を失ったまま先の見えない不安な暮らしを余儀なくされている被災者は依然多い。被災地や首都圏では、DSWDによる支援物資の配給の遅さと不公平性に対するいら立ちや、「進まない復興」に不満を持つ被災者や左派系団体が抗議活動を続けている。(大矢南)