台風ヨランダ(30号)
人権団体カラパタンが台風ヨランダ被災地などで人権を考慮した生活支援強化を訴え
左派系人権団体カラパタンは20日、2013年のフィリピンの人権侵害状況に関する年次報告書を発表した。それによると、台風ヨランダ(30号)やサンボアンガ市街地占拠事件などの大規模な被災地では依然として、衛生状態の悪い避難所生活が続いているなど、人権を損なう状態を強いられている住民が多くいるという。その上でカラパタンは、人権に十分に配慮し、被災者の生活支援を一層強化するようアキノ現政権に訴えた。
カラパタンによると、サマール州バセイ町パヌグモノンは、ヨランダによる暴風雨で農作物に甚大な被害を受け、大半の住民が生計手段を失った。しかし、死亡者が出ていないため、政府からの支援が不足しているという。
カラパタンはまた、衛生状態の悪化により高齢者、乳幼児、妊産婦など弱者を中心に風邪など体調悪化を訴える被災者が増加しているとして、医療機関の再開が急務になっていると指摘した。
一方、モロ民族解放戦線(MNLF)初代議長派によるミンダナオ地方サンボアンガ市街地の占拠事件では、11万人を超える多くの住民が依然、避難生活を強いられている上、深刻な食料不足に直面しており、避難所で体調を崩す被災者も増加しているという。
カラパタンは占拠事件では、国軍による住民への人権侵害が相次いだと非難。人質約80人とともに、MNLF初代議長派が立てこもった教会に、国軍が催涙弾を発射、空爆を強行するなどして、20歳の学生2人が死亡したとも指摘。さらに、海上からの避難を試みた住民を拿捕(だほ)し、手錠をかけた上、銃口を向けながら尋問したとして、国軍の人権侵害行為を強く非難した。
報告書は、2012年12月にミンダナオ地方を横断した台風パブロの被災地でも、多くの被災者が人権を損ねる生活を強いられていると指摘。暴風雨で甚大な被害を受けたバナナ農家の大半が現在も無職状態にあるという。政府による救援物資の不十分な配給も人権を損ねていると非難、腐敗したコメが配給されたケースもあったという。
パブロの被災地では被災から約3カ月後の2月下旬、支援物資が届いていないと居住民約2千人が、ダバオ市の社会福祉開発省の地方事務所に押しかけ、食料を強奪しようとする騒ぎがあった。(鈴木貫太郎)