台風ヨランダ(30号)
小野寺防衛相、ガスミン国防長官の会談で自衛隊の年内撤退の可能性を言明
小野寺五典防衛相は7日フィリピンを訪問し、首都圏ケソン市の国防省でガスミン国防長官と会談した。台風ヨランダ(30号)の被災地への支援や、中国が設置した「東シナ海防空識別区」について意見を交換。小野寺防衛相は、台風支援が緊急支援から復興支援の段階へと移行する時期とし、支援活動中の自衛隊を年内で撤退させる可能性を示唆した。また、比日間の防衛協力関係強化を今後さらに進めていくことを確認した。
同防衛相は、会談後の記者会見で「被災地を視察した上で最終結果を出す」としながらも、比政府や世界各国の支援状況も踏まえ、「被災地のニーズが緊急対応から復興支援へと移っている」との見方を示した。また「復興支援へ向けて日本政府全体で支援していく」との意向を表明した。
同防衛相は(米韓両国などに比べ)台風被災地への自衛隊派遣が遅れたことをあげ「比日両国間で(協力に関する)取り決めが結ばれていれば、もっと早い段階で派遣することができた」とし「お互いの協力関係をさらに強めるということで合意した」と話した。今後の協力強化の具体的な段取りなどは「事務レベルで進めていく」という。
中国が設置した「東シナ海防空識別区」に関して同防衛相は、「周辺地域の安全保障環境に緊張をもたらす」とし「中国へ懸念を表明していくことで比日の認識が一致していることを確認した」と話した。また、中国が南シナ海にも防空識別区を設定しようとする動きがあるという報道に関しては「設定された際は、日本としても強い懸念表明を行っていく」と表明した。
小野寺防衛相は8日にもビサヤ地方レイテ州タクロバン市を訪問し、現地の被災状況を視察する予定。(加藤周平)