台風ヨランダ(30号)
日本政府、重油流出事故対策で海上保安庁の職員らをイロイロ州エスタンシア町に派遣へ
台風ヨランダ(30号)の被災地支援で、日本政府は3日、海上保安庁の専門職員ら国際緊急援助隊をビサヤ地方イロイロ州エスタンシア町に派遣すると発表した。同町では、台風が襲来した11月8日、発電用バージ船が座礁、船体が損傷し、搭載していた重油が流出した。海上保安庁の専門家らは汚染拡大の防止や除去方法について、比側に助言する。
座礁したバージ船は長さ65メートル、幅45メートルで、最大出力は32メガワット。台風による烈風で、係留ロープが切断し座礁した。損傷した船体から、搭載していた重油1400キロリットルの約6割に当たる850キロリットルが流出したとされる。
台風襲来直後から比沿岸警備隊は、生存者の救出や被災者への物資輸送などを最優先として、人員と装備を投入してきたため、重油漏れ対策が後手に回ったという。目下、比沿岸警備隊と船主が雇った油回収会社が早期回収を目指し、作業を進めているが、被害は深刻で完全回収までのめどは立っていない。
海上保安庁の専門家らは4日、フィリピンに到着予定。6日までに現地入りし、被害状況の調査を開始する見通し。
海に流出した重油は時間の経過とともに、海岸に漂着するなど汚染範囲が拡大し、除去がますます困難になる。また効率的かつ的確に油を回収するためには、油の性質に合った除去剤の選択などが重要となる。
重油が混じった海水で捕られた魚は、油の臭いが強く商品にならないため、事故による漁業への影響が懸念されている。11月末時点で、健康被害を懸念して、付近の住民約1200人が避難している。(鈴木貫太郎)