台風ヨランダ(30号)
アキノ大統領、被災地復興の統括担当にラクソン前上院議員を指名
アキノ大統領は2日までに、台風ヨランダ(30号)被災地の復興担当にラクソン前上院議員を指名した。通常業務もこなす閣僚に代わり、復興に集中し統括する。近く発令する大統領令で、詳しい権限や閣僚級タスクフォースとの関係などが規定される。
ラシエルダ大統領報道官は同日、「大統領は復興努力をフルタイムで統括できる人物が必要だと感じていた」と説明。ラクソン前議員の指名に政治的な背景はないと否定した。
ラクソン前議員は先週、大統領から復興担当への就任を打診され、1日に受け入れを伝えた。2日、記者会見を開いた同前議員は、大統領が外国・国際機関の援助使途の透明性確保を強調していると述べた上で「復興計画予算も含め、資金の公正な利用を徹底する」と話した。アキノ大統領の任期が終わる2016年6月までの完全復興を目指すという。
ラクソン前議員は、エストラダ政権下(1998〜2001年)で国家警察長官を務めた。10年1月には、長官時代に起きた歴代政権広報担当者殺人事件(00年11月発生)に関与したとして殺人罪で起訴され、議員在職のまま海外へ逃亡。10年6月のアキノ政権誕生後、公訴棄却になり、11年3月に帰国、公職に復帰した。
現政権下でアキノ大統領陣営に回ったとされ、ロブレド前内務自治長官の急死後、後任候補に名前が挙がった。上院議員時代に汚職の温床とされる優先開発補助金(PDAF、通称ポークバレル)の撤廃を訴え、同補助金割り当てを拒否したことなどから、大統領がPDAF不正流用疑惑の捜査に前議員を加えたいとの意向を示すなど、任期を終えた前議員に閣僚級ポストが用意されるとみられていた。(大矢南)