台風ヨランダ(30号)
大統領が被災地を再訪し、遅々として進まない復興状況に失意示す
アキノ大統領は17日、台風ヨランダ(30号)の甚大な被害を受けたビサヤ地方レイテ州タクロバン市、東サマール州ギワン町をそれぞれ関係閣僚とともに視察した。タクロバン市については10日に視察してから1週間ぶりの再訪となったが、ラジオ局の取材に対し「(最初に視察した)1週間前に期待していたことが何も実現していない」と語り、被災地の復興が遅々として進まない現状に失望感を表明した。
大統領は現場の状況について「水路をふさぐがれきが取り除かれていない。雨天になればさらなる問題を引き起こす。ココナツの木も倒れたままで、撤去されていない」と説明するとともに、停電が回復しなければ「被災地は暗いクリスマスと年末年始を迎えることになる」と述べた。
その上で「現状にまったく納得いっていない。(迅速な復興を目指して)さらに効果的な方法を模索したい」と語り、一段落するまで被災地にとどまる意思を明らかにした。
現場の状況に失望感を示す一方で大統領は、「大統領として、私に怒る権利はない。あっても(復興のために)抑え込まなけれならない」とも述べ、迅速な復興に向けて取り組む決意をあらためて表明した。
さらに、2012年末にミンダナオ地方東部で死者1千人以上を出した台風パブロ、13年10月半ばにルソン地方中部を横断した台風サンティ(25号)の被害についても言及し「両被災地とも未だ復興の途中にある」と述べた。
大統領に同行したのはロハス内務自治、ソリマン社会開発福祉、ペティリア・エネルギー各長官とカランダン大統領府報道班長ら。ギアン町長やタクロバン市長らとそれぞれ会合を持ち、今後の復興支援について協議し、被災者に救援物資を手渡した。
ロハス内務自治長官は同日に発表した声明で、レイテ州40市町すべてに救援物資が行き届く供給路を確保したと明らかにした。これにより、拠点となる同州タクロバン、オルモック両市から全市町に救援物資を配給できるという。
ソリマン社会福祉長官によると、被災地にはこれまで、コメや食料、ビスケットなど約43万袋を配給した。(水谷竹秀)