台風ヨランダ(30号)
大統領府、被災から6日も依然救援物資届いていない被災地あると認める
アルメンドラス内閣長官は13日、台風ヨランダ(30号)のビサヤ地方横断から5日たった現在も、救援物資が届いていない被災地があると認めた。12日夜に大統領府で行われた閣議では、輸送ライン確保を重点的に論議し、「救援物資は確実に流れており、速度を上げているところだ」と述べた。
海外メディアや、国内の下院議員らからは、政府の救援活動の遅延を非難する声が上がっている。
アルメンドラス長官は、「災害時の対応計画はあるが、これほどまでの規模の被害に対応するのは初めて」と弁明。
救援物資が届いていない被災地について、具体的な場所には言及せず「かなり少ない」と述べるにとどめた。その上で「ヘリコプターによる物資供給を進めている」と説明した。
地元放送局のニュース映像では、救援活動の拠点となっているレイテ州タクロバン空港の周辺でさえ、食料や水が絶対的に足りないと苦境を訴える被災者の様子を伝えている。首都圏への避難を求める人や、被害が比較的小さかったサマール州カトバロガンに物資調達に押しかける被災者も増えている。
大統領府によると、台風により寸断されたり甚大な被害を受けた被災地の幹線・主要道と橋18カ所のうち、13日までに16カ所の通行が可能になった。
物資の配給を担当する社会福祉開発省によると、同日までに東サマール州ギウアン町、タクロバン市をはじめとするレイテ州各地に計約11万5600袋の食料パックと、飲料水を配った。国軍のヘリは、イロイロ市、カピス州ロハス市に救援物資を届けている。
外国政府や国際機関が表明した援助のうち、配給準備がすでに整ったのは、台湾からの物資のみ。今後、外国から運び込まれる物資については、マニラ空港ではなく直接セブ・マクタン空港に搬入し、セブ州を拠点に救援活動を行う。
エネルギー省によると、依然被災した18州の広域で停電が続いている。
ノグラレス下院議員=ダバオ市=は13日、不正流用疑惑に絡み、最高裁が支出を一時差し止めている裁量的予算、マランパヤ基金を被災地支援に拠出すべきだと訴えた。
同議員は「支出がエネルギー関連事業に制限されているマランパヤ基金を今こそ、被災地の電力、エネルギー回復、復興に使うべき」と強調した。ペティリャ・エネルギー長官は先に、同基金を迅速に拠出する必要性を説明した。(大矢南)