台風ヨランダ(30号)
死者228人、不明28人に。アキノ大統領は被災地を視察し、迅速な支援を指示
10日午後7時の国家災害対策本部発表によると、ビサヤ地方を横断した台風ヨランダ(30号)による死者は前日から91人増えて229人となった。負傷者は45人、不明者は28人。被害状況はさらに拡大するとみられるが、通信網が依然としてこの日も回復していないため、全容把握は難航状態が続いている。アキノ大統領は同日、壊滅的な被害を受けたレイテ州タクロバン市を関係閣僚とともに視察し、食料や避難所を含め被災者支援に全力を注ぐよう関係省庁に指示した。
死者229人のうち、レイテ州タクロバン市とパロ町だけで144人と半数以上を占め、セブ州北部が37人、東サマール州が27人などとなっており、ビサヤ地方中部、東部に集中している。41州504市町に住む約205万世帯(約949万人)が被災した。
避難民は約13万2千世帯(約63万人)で、うち約9万5千世帯(約44万人)が学校などの避難所で生活をしている。全壊した家屋は約1万3千棟、半壊は約6300棟だった。
ビサヤ地方、ルソン地方ミマロパ地域における24州の一部市町村では停電が続き、レイテ、南レイテ、北・東サマール、セブなど計11州で通信網が遮断されている。この通信網の遮断が全容把握に支障を来しているが、回復のめどは立っていない。
レイテ州タクロバン市に入ったアキノ大統領は同日、記者団に対し、食料や水不足への対応、遮断された通信網の復旧が急務だと強調した上で「国軍の輸送機を使って必要物資を被災地に運んでいる。物資が行き届くよう、道路を整備する必要もある」と語った。
大統領によると、公共道路事業省が被災地の自治体と連携して損壊した家屋の復旧作業に当たるほか、厚生省が、劣悪な環境に置かれた被災者の医療支援を行っている。
大統領に同行したのは、ガスミン国防、ロハス内務自治、ソリマン社会福祉、ペティリア・エネルギー各長官。
大統領はこの後、パナイ島ロハス市も視察し、同日中に首都圏に戻った。(水谷竹秀)